「解説・都市ガス」を読んだ2009/03/19 23:42

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4478240221.html
日本ガス協会=編著 解説・都市ガス―身近なエネルギーの素顔 ダイヤモンド社 1985年 を読んだ。この本は24年も前の本なので当然ながらすでに絶版となっている。昨今は地球温暖化の対策とともにエネルギー問題が大きくクローズアップされている。少し前に油の価格が高騰してガソリンがリッター200円近くまで上昇したのは記憶に新しい。最近はテレビコマーシャルも出ているが、当時は都市ガス事業について一般にあまり知られていなかった。後書きにあるように、電気、石油、石炭などに関する書籍は数多く出ているが都市ガスに関するものが一つも出てなかった。本書はそんなガスの基本知識の啓蒙書として書かれている。

都市ガスに関わる雑多な話を盛り込むが専門用語を極力使わないようにして判り易さに重点が置かれている。当然のことながら技術的な情報はすっかり古くなっているが、ガスが使用された歴史などは興味深い所も多い。日本で都市ガス事業なるものが誕生したのが明治5年(1872)、横浜の馬車道通りにガス灯を点したのが最初というから意外にもガス利用の歴史は100年とちょっとしか経っていない。略年表によると、最初に都市ガスを利用したのが1857年薩摩藩の藩主である島津斉彬(NHK大河の篤姫の父君)という。石燈籠を石炭ガスで点燈した。もっとも石井研堂の『明治事物起源』(1907)にもっと古いガスの使用例もあるそうだ。もともとガスは照明用のガス灯として出発している。

現在では、ガス事業というと主に熱用へと用途が変化している。自分が子供の頃はまだ石炭が主な暖房の熱源として利用されていた。昭和44年都市ガスの原料としてLNGの輸入が始まった。公害問題などが深刻化していたこともあり、クリーンな原料LNGが使われ始めたという。本書は都市ガスの入門編の一般書として面白く読めた。

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