NHK杯戦は羽生が7回目の優勝を飾った2009/03/22 22:51

本日NHK杯戦の決勝戦が放映された。何かあっという間に年度が終わってしまう感じがして最近は時が過ぎていくのが早い。決勝に勝ち上がったのは羽生と森内。羽生の相手を見ると、若手ばかりでA級やタイトルホルダーは一人もいない。対して森内は渡辺、佐藤といったタイトルホルダーを破って決勝に勝ち上がった。羽生は気がついたらもう決勝かという感覚ではなかろうか。竜王戦で敗退、王将戦でも苦戦しているなど本来の調子とはいえないが、NHKを含めて各棋戦コンスタントに勝っているのはさすがである。振り駒の結果森内の先手となったが、戦型は予想外の相振り飛車。森内が3手目▲6六歩と角道を止めたことで誘導した形だ。

序盤は後手が攻めの形を作って先攻するが、森内は形が乱れながらも強手で攻めを迎え撃つ。対渡辺戦もそうだが、読みに自信がなければこういった受け一方を持つのは嫌なものだ。しかし森内は頑強に受けて先手が有利に立った。67手目▲3二銀と飛車取りに打ったところでは先手の楽勝に見える。しかし羽生は渾身の勝負手△4四銀と銀損ながら飛車角交換に持ち込み勝負形に持っていく。図は▲2一飛成に△5一歩と受けたところ。先手玉は5五角がいるので詰めろではないが駒を渡すと受けがなくなる。後手玉に詰みがあれば勝ちなのだが、秒読みで読み切るのは大変である。パソコンにかけて詰みを検索したところ、この局面で後手玉は詰んでいた。

本譜の▲6二金△同 玉には▲5一龍△同 角▲6一金△7二玉▲5二龍△6二桂▲同 金△8二玉▲7三角成△同 桂▲5一金△9三玉▲8二銀△8四玉▲7三銀不成△同 玉▲6二角△7二玉▲7三金以下25手詰。では▲6二金に△8二玉は▲7三角成以下やはり詰み。結果的には、羽生の△9四歩の端歩突きにも▲2一飛成が決め手で先手勝ちだった。森内は最後の最後で逆転を許してしまったのが悔やまれる。来週は女流タイトルホルダー4名によるNHK杯出場者決定戦、やはり注目は里見だがどうだったのだろうか。