将棋界の2008年度が終わった2009/03/31 22:16

http://mainichi.jp/enta/shougi/index.html
年度末の最後のタイトル戦である棋王戦も昨日終了して、将棋界の1年が終わった。4月からは新しい年度を迎える。まもなく名人戦が開幕するとともに記録部門は一旦リセットされる。その間、順位戦はしばしシーズンオフに入る。上のウェブの記事には記録部門での興味深いデータが載っている。先手後手の勝率がついに史上初めて逆転した。2008年度は後手が5割2厘とこれまでの最高勝率4割9分5厘を大幅に更新している。もともと将棋は先手が少し有利なゲームというのが常識であり、誰しもこれを疑ったことはなかった。折しも100年に1度の経済危機といわれる不況の波が、従来高値安定だった先手勝率に波及したかどうかは定かではないが、特筆すべき歴史的事件といえる。

その一番の要因として挙げられるのはゴキゲン中飛車の流行であろう。もともと愛用していた新戦法もゴキゲン中飛車と含みがだぶる部分もあるが、昔は随分と稼がせてもらった。いわゆる自分だけがつかんでいる戦法のコツといったものが隠れた武器なのである。ところが最近の若手棋士の書いた戦術書にはそれらが惜しげもなく解説されている。ちょっと営業妨害じゃないのと苦情を申し上げたいところであるが(笑)メジャーな戦法に昇格したのは喜ばしい限りである。ウェブのアーカイブには将棋大賞の発表も載っている。最優秀棋士賞の羽生は成績からしてもダントツだろう。三強のうち森内や佐藤が無冠となるなか、羽生だけが過半数の四冠を堅持しているのはさすがとしかいいようがない。

その後は2番手グループ、渡辺、深浦、久保となる。今期成績はパッとしなかったが永世竜王の資格と最強戦優勝で渡辺が優秀棋士賞、深浦が王将位の挑戦失敗、久保が棋王を獲得したので勝ち星、対局数と併せて敢闘賞も文句なしだ。升田賞の受賞もあるが早石田の▲7五飛だろうか。この3人は来期の順位戦ではB級1組で激突する。A級行きのキップは2枚しかないので、タイトルホルダー3人による近年にないハイレベルな戦いになりそうである。