大型書店で本を3冊購入した。そのテーマは?2009/03/10 23:45

久しぶりに立ち寄った大型書店で本を3冊購入した。気がつくと偶然にも同じテーマに行き着いたのだが、次の3冊の本に共通する事項は何であろうか。これが直感で判れば貴方も立派なマニアと認定差し上げよう。まずは第一ヒントである1冊目。

1) 立木鷹志 媚薬の博物誌 青弓社 2006年
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4787232606.html
「媚薬」で書名を検索すると131件になる。澁澤氏流にいうと、万人をを引き付ける、エロティックな心地よい響きのする言葉なのかもしれない。えっ、これだけじゃ全然判らないって。それはその通りである。では第二ヒントの2冊目を挙げる。

2) マーガレット・B・フリーマン 遠山茂樹訳 西洋中世ハーブ事典 八坂書房 2009年
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4896949250.html
この本は最近出版されたばかりの新刊書。ペラペラとページをめくると、最初の40頁ほどはカラー図版が続いていて見ていて飽きさせない。その後も15世紀の木版画など図版が豊富で薬草に関する蘊蓄は非常に興味深い。もう薄々お判りになったのではないか。最後のヒントの3冊目。

3) カミュ 宮崎嶺雄訳 ペスト 新潮文庫 1969, 2009年
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4102114033.html
カミュは言わずと知れた、世界的に有名なノーベル文学賞作家である。この大作『ペスト』はフランス国内はもちろん、世界的な反響を喚び起し、確固たる地位を築いた古典である。さて、共通点はもうお判りだろうか。

- どうせノストラダムスでしょ。
- まあ、そうなのだが、もう少し具体的に・・・。
- 薬草の記述やペストの治療について書かれているのは、確か『化粧品とジャム論』という本でしょう。日本でも少しずつ引用されたことがある。
- それでほとんど正解なのだが、もう少し正確にいうと『化粧品とジャム論』1556年リヨン版ということになる。

それは何故か、『化粧品とジャム論』は16世紀に何度か再版されているが1556年版の第1部18章「本物の媚薬の調製法。ウェヌス神の崇拝者が古代人の愛の行為に用いていたもの。」が翌年出版されたアントウェルペン版では、どういうわけだかカットされている。よって3冊の共通点は『化粧品とジャム論』リヨン版ということになる。まだ入手していないが最近ミシェル・ショマラ出版よりこの本のファクシミリが刊行されたと聞いた。ショマラの重厚な解説が見どころであるが、手に入るまでにこれら3冊の本で少しでも基礎知識を身につけておきたいと思う。