棋王戦第三局は佐藤が勝って1勝を返す2009/03/08 21:53

http://www.niigata-nippo.co.jp/kiou/34kiou/
休みの日のタイトル戦のネット中継はありがたいが、一日中見ているわけにはいかない。朝、昼、夕、夜とこまめにチェックした。この一局に敗れるとタイトルを失い無冠になる佐藤は背水の陣で臨んだことだろう。対する久保は今期成績は勝ち星、対局数トップと好調であるが、ここらで目に見える結果がほしいところ。順位戦の昇級を逃して朝日杯決勝で敗れ、NHKでも本日準決勝で羽生に敗退。そしてカド番に追い込んだ棋王まで逸すると今期何も残らなくなる。2連勝と有利ではあるが5番勝負では0-2からの逆転は結構ある。できれば今日3連勝で決めてしまいたいというのが本音であろう。後手番の久保はやはり頼れる相棒のゴキゲン中飛車を投入する。これに対し佐藤が2筋の交換後▲2三歩を打つ展開となる。

31手目▲4一角と打って一目先手が良さそうだが3一の銀を取らせるのが久保の構想。その後の流れを見ると先手は竜ができたが後手も馬を作り容易ではない。先手の陣形はペタンと平たいだけにどこから手をつけるかと盤面を見ていると、57手目▲2二銀と虎の子の銀を打ったのには驚いた。打ってさらに一手かけて香車を取るものの銀がまったく働かない。やむを得ず先手は2筋にと金を作るが1筋と2筋のと金の連係が悪く、その間に後手に捌かれてしまいそう。しかし指しているのは佐藤、しっかり速度計算ができているのだろう。89手目▲3三金と角を手にして先手は大きな駒得となり、あとは後手の反撃を凌げば自然と勝利につながる。

92手目△6五桂もすごい迫力である。後手玉に詰めろがかからないだけに時間の短い将棋では受け切るのは大変である。自分の実戦だったら間違えてしまい、勝ち切れないだろう。しかし佐藤の指し手は正確無比。最後は詰みなしを読み切り、勝ちを決めた。全体の印象をいえば形に捉われない佐藤らしい力強い指し回しだった。次は久保の先手。新石田流の新手▲7五飛を再度投入するのだろうか。今度は佐藤も研究しているに違いない。どうなるか注目である。