P.V.ピオッブの本が届いた2009/03/05 23:59

本日帰宅後に宅配ロッカーを開けてみると、海外からの郵便物が届いていた。はて、何を注文していたんだっけと記憶の糸をたどりながら梱包を解いてみると、1939年に出版されたP.V.ピオッブの"Le sort de l'Europe d'apres la celebre prophetie des papes de saint malachie"(聖マラキの著名な法王の予言に基づくヨーロッパの運命)だった。副題には「オルヴァルの予言とノストラダムスの最新の啓示」とある。ピオッブはこの本から遡ること12年前に"Le secret de Nostradamus"(ノストラダムスの秘密)という本を書いている。巻頭に著者の作品リストが載っているが、「16世紀の名だたる予言者が様々な秘教的な概念を隠匿した暗号プロセスに対する基本の見方」と紹介されている。もっともイオネスクにいわせると「完全な不毛の理論の積み重ねに終わっている」。

ピオッブの研究については先日ここで紹介した『フランス ルネサンス断章』111頁に「ノストラダムスは、先ずフランス語で文章を作り、それをラテン語に訳し、更にフランス語に再訳して、文体をひきしめ、表現に陰影を与えようとした」ことが書かれている。あるいは黒沼健氏の最初のノストラダムス物語のなかで、戦前のノストラダムス本に載っていた図形を転載しているがこれもピオッブの本からである。日本でノストラダムスブーム以前に参照された研究書を眺めていると、どこかで似たような流れを見たことがある気がする。それは19世紀の研究家ユージェヌ・バレートである。バレートは1840年に『ノストラダムス』という著書を発表し、予言集のテクストの転記や注釈を行った。さらに『時の終わりについての諸予言』のなかで一部ノストラダムスに言及している。

ピオッブも同様に『ノストラダムスの秘密』で予言の注釈、1936年には1668年アムステルダム版予言集の復刻本で予言集テクストを世に出している。そして今回の『ヨーロッパの運命』ではマラキの予言書のほか様々な予言を取り上げて一部ノストラダムスにも章を割いている。バレートと著作の構成がすごく似通っているが、ピオッブがそれを意識していたかどうかは何ともいえない。

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