知の分類史2008/05/11 23:31

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4121502361.html
ゴールデンウィークも終わり、なぜか土日も仕事。出張中の移動時間に 久我勝利 知の分類史―常識としての博物学 中公新書ラクレ 2007年 を読み終えた。有史以来人類は何を学び、考え、作り上げてきたのだろう。人間は自らが持っている知識を分類によって整理したくなるものらしい。その分類は実は恣意的なのだが、著者は二分割ならぬ三分割による発想の転換を提言している。この本では博物学、百科事典、図書分類のそれぞれの分類について細かく紹介している。博物学とはよく耳にする言葉だが、その実態は「博く物を集まる」ことから始まりそれを分類することで成り立っている。33頁に載っているプリニウスの著作の全37巻の構成は見ていて飽きさせない。ローマ時代にもこれほどの知識を体系づけしょうとしていたのには驚く。

百科事典とは、モノや生きモノの収集に加えて概念的なことまで含める「知」の一大コレクションと定義される。中世の教養とされる自由七科(文法学、論理学、修辞学と算術、幾何学、天文学、音楽)はその体系のはしりと見ることができる。18世紀には百科全書がフランスで出版され、当時の知識人を結束することでフランス革命につながった。知の体系化はそれだけのエネルギーを秘めたプロジェクトといえる。この知を集結させて系統立てする手法で、中国で発展したのに類書というものである。幅広い書物のなかから文章を抜き出し、項目を立てて、内容別に編集したもの。研究者さんのコメントにある「世界のノストラダムス研究を集めた本」というのはこの概念に近いのではないか。もちろんそんな本の執筆はちと荷が重すぎる。ネット上ではウィキペディアのノストラダムスに関する記事が相当する。

ノストラダムス本でいえばレオニの研究書が当てはまると思われるが、英語で書かれており内容も少々古い。日本語で読めるものとしてピーター・ラメジャラーの『ノストラダムス・エンサイクロペディア』の邦訳がある。もっともこの本も見直すべき個所は多い。ラメジャラーは改訂版を出す構想があるようでいつか実現すればと思う。ノストラダムス本の分類については、ノストラダムス国内文献書誌で試みたことがあるが、もう少し系統立てた分類ができれば有用なデータベースになるかもしれない。同様に雑誌記事リストについても何か分類法を考えたほうがもっと便利になるに違いない。本書をベースにいろいろ考えてみるのも面白い。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
本ブログの正式なタイトルは何ですか。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://asakura.asablo.jp/blog/2008/05/11/3501510/tb