名人戦第三局は驚異の逆転劇で羽生が2勝目2008/05/10 00:56

なんと表現したらいいのだろうか。朝日のサイトでは50年に一度の大逆転と見出しにある。それほどまでに衝撃的な逆転劇であった。一言で羽生マジックと片付けられる将棋ではない。羽生の名人に懸ける執念が剥き出しになった一局といえる。いまだに興奮冷めやらぬ。終盤はあるサイトの中継でリアルタイムに観戦したが森内が141手目▲9八銀と打ったときには明らかにポカと気づいた。△8六桂と王手で跳ねられて打ったばかりの銀が取られてしまう。それでも後手が勝つのはまだまだ遠い道のりかと思いきや、ここで森内のなかでピンと張った糸が切れてしまった。最後は秒読みのなか投げ切れず三手詰の局面まで指して無念の投了。羽生は劣勢を粘り強い戦いで挽回し、後手番での貴重な1勝をもぎ取った。

封じ手は予想通り△5三銀だが羽生の40手目△5五角が不思議な一手。その後の森内の構想が見事である。駒組みの進展性のない後手陣を後目に7筋8筋の位を取って着々を厚みを築き上げる。85手目に▲7八飛と転換したところで森内の遠大な構想が明らかになった。先手は一方的に7筋を破ることができる。それに比べて後手はうまく駒を捌くことができない。99手目▲4五金と打ったところでは誰が見ても先手勝勢。ここから後手が勝つなんてまったく想像もできないくらいの大差であった。それでも羽生は手を尽くして粘る。結果的には122手目△4二角から126手目△5四飛の飛角のコンビネーションプレーが大逆転への伏線となった。130手目に△7四桂が入ってなにやら妖しいムード。主力の飛車を取られるは痛い。140手目△7八歩がまさに一歩千金。

先手は秒読みに焦らされた感じで信じられないポカにつながった。森内はこの敗戦の精神的なダメージが大きいに違いない。しかし昨年の名人戦でも必勝の局面から玉の逃げ方を間違えて逆転負けを喫したあとも態勢を立て直して防衛を果たしている。次の後手番がまさしく森内の正念場となる。

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