名人戦第四局は羽生が勝って奪取まであと1勝2008/05/21 23:53

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夕食を食べたあと、ネットにアクセスしてみると、すでに羽生勝ちが報じられていた。ダイジェストを見ると二日目は重苦しい駒組み合戦が延々と続くお互い辛抱する展開となった。序盤の派手な展開とはうって変わり地味な応酬が続く。結局本格的な戦いに入ったのは、二日目の夕食休憩後であるから、いかにそれまで消耗戦の様相を呈していたかわかる。このとき森内の持ち時間は1時間を切っていた。局面は後手がうまく立ち回って少し模様がいい感じも受けたが、56手目△3五歩と仕掛けたのがどうだったのか。この手を境に局面は先手にわかりやすくなった。

本譜は2筋を突破されてしまうため、後手が無理にでも手を作らなければならなく、時間のない中で焦らされることになった。封じ手は大方の予想通り△6四歩。これに対して羽生は7七にいた銀を5七に転換して4筋の攻めに対して厚く受ける。38手目の△8二角が森内の秘めた作戦だがその後の一手一手はまったく理解不能。水面下の読みでは激しい戦いを繰り広げていたはずだが、盤上では微妙が駆け引きが続く。後手は54手目角を巧みに6四に据えたが、いいタイミングで先手の手薄な9筋を狙いたいところ。また先手の玉頭に歩のないのを見越して7筋の歩も突いてみたい。△3五歩ではもう少し我慢したかった。

これで森内は3敗目を喫して後がなくなった。とはいえ名人位は森内にとって虎の子のタイトル。そう簡単に手放すわけにはいかない。次の先手番はなり振り構わず勝ちにいってほしいものだ。羽生は往年の勝負術がいかんなく発揮されている。百戦錬磨の羽生は念願の永世名人を目前にしても浮ついたところは見せないだろう。