Shinsenpou World Blog

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終わってみると矢内の強さばかりが目立った一局だった。序盤は例のごとくほんの少し不利感のある局面へ進めるが、中盤じっくり読みを入れて気がつくと形勢を自分のほうに引き寄せていた。昼食休憩時、後手が40手目△５五銀とぶつけたところでは先手が辛そうに見える。というのも△６九銀の割打ちや角の打ち込みが相当やっかいに思われるから。矢内は堂々と▲６七金右として角の打ち込みを甘受した。しかし、ふんわりと▲６五歩から▲６六銀（上図）と手厚く構えたのが読みが入った好手でこの手を境に先手のペースになったようだ。

57手目▲３五歩と綾をつけてから６筋を清算したのち65手目▲７七桂と6筋の制空権を制した指し回しにスキは感じられない。対して甲斐の指し手はちぐはぐな感じを受ける。79手目▲５三同銀成と金得を果たしたところでは先手勝勢。どうも後手は急所で読みの掘り下げの甘さが出たように見える。以下矢内は甲斐を1分将棋に追い込み、手堅い寄せで勝利し3-1でタイトルを奪取、初の女流二冠となった。終局時の堅い表情から一転インタビューの姿を見るとさすがに嬉しそうだ。現在は女流王将戦で清水と戦っているが、三冠目の奪取となれば名実ともに女流棋界の第一人者となる。

マイナビオープンは、これまでにない新しい試みにどんどんにチャレンジして、ネット中継でもいろいろな企画を出し十分成功裏に終わっている。マイナビロゴ入りカップ、スポンサー制度、動画の配信、局後のインタビューなど今後の中継に大きな影響を与えることだろう。女流棋戦では破格の優勝賞金500万円、矢内はどう使うのだろうか。