思想なんかいらない生活2007/11/15 23:09

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4480061797.html
勢古浩爾 思想なんかいらない生活 ちくま新書 2004 を読んだ。この本は何と言ったらいいのだろうか。例えは適切ではないがと学会がオカルトさんを批判するといったノリで世間一般で知識人、インテリといわれる人たちの著作をバッタバッタとめった切りしている。後書きにも書いているがこんなお堅い業界で一人浮いた感じで茶化したような批判を書いて大丈夫なのだろうか―人ごとながら心配になる。確かにエライ思想家の先生の書いている文章は自分のような素人が読むとまったくちんぷんかんぷん、何が言いたいのかわからないというのは同感である。しかし、それにしても・・・・

この本で取り上げている思想というのは「生きているこの身にしみ、心に食い入ってくるもの」という。思想と哲学は似て非なるものなのだ。哲学は論理学と親和性があるが思想というのは著者の言葉を借りると「ひとりの思想」、無意味な自分を意味ある自分として生きるための「思想」である。そうして「ひとりのふつう」として生きようと決心するのである。この部分はアウトロー的なスタンスになんとなく共感するところが多い。その条件を五つ挙げている。①群れない②他人の欲望を自分の欲望にしない③「知」を優位に置かない④できるかぎり自分を承認する⑤無意味を意味として生きる。

この本を読むと何かしら人生を達観できたような錯覚にとらわれるが、人間は誰しも理不尽な世の中の「事実」のなかでしか生きられないというのは間違いない。

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