ノーバーゲンの『ホロコーストへの招待』2007/11/19 23:49

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/booksea.cgi?ISBN=1558175458
ノストラダムスの予言から世界大戦のシナリオを描く――レニ・ノーバーゲンの『ホロコーストへの招待―ノストラダムスが第三次世界大戦を予言する』Invitation to a Holocaust : Nostradamus Forecasts World War III が日本で紹介されたのは1980年3月のこと。今はもう倒産してしまったパシフィカより中山善之訳『ノストラダムスの予言した第三次世界大戦』というノストラダムス本が世に出た。直後に『週刊プレーボーイ』に「特集 ノストラダムスがずばり予言「第3次世界大戦」勃発の日」という紹介記事が載ったようにちょっとは話題になった。実は邦訳が出る前に『UFOと宇宙』1979年6月号でレニ・ノーバーゲンの記事「ノストラダムスの第三次世界大戦詳細予言」が尾下英雄氏の訳で初お目見えしていた。

それまでタイトルにノストラダムスの名が入った予言の解説書といえば五島勉氏の『大予言』しかなかった。海外の研究家によるノストラダムスの注釈書の翻訳本は当時画期的であった。自分がこの本のことを知ったのは、雑誌「ムー」1982年2月号のとじ込み特別企画「世界の大予言ライブラリー」の現代予言研究会によるブック紹介のなかである。どんな内容か興味があったがマイナーな出版社なので本屋には置いていなかった。四行詩の訳文は『2037年への未来史』(後に改題『2037年への大予言』)で引用されているのを見た。その後大学生協を通じて注文しようやく手に入れた。本の構成はノーバーゲンの考えたシナリオで並び換えられた四行詩の羅列で合間に簡単な注釈が挿入されている。

今、手元には1991年に再版された『ノストラダムスは世界の終末を予言している』Nostradamus predicts the end of the world がある。当時はちょうど湾岸戦争の勃発前夜で、もしかすると世界大戦に拡大するかという緊迫した世界情勢下にあった。この本以後似たようなシナリオを使いまわした本が増えたが今となっては世紀末の大戦争の幻影は遠い過去へと押しやられてしまった。邦訳版と1991年版を比べると四行詩の数が264から265に増えているのに気がついた。よく見ると後者は117の番号がオミットされているが内容的には目立った改訂はなさそうである。邦訳書の翻訳は意訳が多いが逐語訳よりも意味が通り解釈はしやすい。しかし四行詩の章番号がないのは本当に不便であった。原書にはあるのにどうして省略したのだろう。