プロ弁護士の思考術2007/11/03 17:21

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4569659365.html
矢部正秋 プロ弁護士の思考術 PHP研究所 2007 を読んだ。人は意識するしないに関わらず常にモノを考えている。この著者は弁護士という職業上の豊富な経験を踏まえてモノの考え方を七つのコンセプト「具体的に考える」「オプションを発想する」「直視する」「共感する」「マサカを取り込む」「主体的に考える」「遠くを見る」に分けて述べている。もちろん普段のビジネスにおいてはこれらを無意識のうちに取り込んで思考している。著者は将棋ファンなのか、ときどき将棋に例えている所は好感が持てる。確かに上のコンセプトは将棋が強くなる、あるいは勝つためのエッセンスをすべて含んでいる。実は著者の示す「考え方の基本」はすべての身の回りのことに当てはまる。

そのなかでも、なるほどと思ったのが「受け売り思考」を徹底的に削るという話だ。人は自分固有の考えを持っていると信じているが実はマスメディアの圧倒的影響を受けている。これは自分自身もよく当てはまる。自分独自の考えを持っている人は非常に少ない。著者がいうには、若い弁護士の意見書を見ると学説や判例を手際よくまとめてあるが、実は自分の考えが入っていない。では自分の頭で主体的に考えるにはどうしたらいいのか。①関連する事実を確認する②自分の判断の「根拠」を吟味する。ビジネスにおいて情報の出所が伝聞やマスメディアの報道だったりすると、これを事実と受け取ることで判断を間違ってしまうケースもある。

会社で新プロジェクトを立ち上げるような場合にも、誰がこういったとか、幹部が賛成したとか、前例主義でこうだとか実質的に何の根拠もないことがまかり通っている場合がなんと多いことか。それで失敗しても合議制の決定事項で誰も責任を取らない。考えるポイントは話し手の肩書や権威をはずして話している内容によってのみ判断することだ。職場では常にロジカル・シンキングが必要と説いているが現実には実践することが難しいものだ。