読書の秋はフランス文学で2007/11/07 23:20

ウィキペディアの「ミシェル・ノストラダムス師の予言集」の項を読むと、「文学的な評価」という節がある。今まで大量のノストラダムス本は読んできたが予言集がフランス文学のなかでどういった位置づけをされるべきか確たる考えは浮かんでいなかった。それも当然で学問的にフランス文学を学んだことはないし、評価としてはクセジュ文庫の『十六世紀フランス文学』55頁で神秘学が文学の分野にある種の影響を及ぼした一例として触れられているに過ぎない。『プレイヤード派の詩人たち』ではそこから一歩進んで、自然現象あるいは隠秘的現象を知らしめる科学詩といったジャンルに分類されている。岩波の『ノストラダムス 予言集』にある解説も基本的にこのスタンスを踏襲している。

フランス文学への位置づけとなると、予言集だけを独立して評価することはできない。そこで心機一転フランス文学関連の入門書を買いそろえてみた。まず手頃なのが講談社学術文庫の清水孝純著『ルネサンスの文学』。ノストラダムスも目を通した可能性が高いと思われる代表的な文学作品14編のダイジェストと簡潔な解説がある。これを読むとおぼろげながら人間の内面に焦点を当てたルネサンスの息吹が伝わってくる。ルネサンス文学もぽっと急に現れたわけではない。原野昇編『フランス中世文学を学ぶ人のために』は、中世文学のエッセンスをわかりやすく抽出しているとともに文献案内など参考となるものも多い。

フランス文学を概観するものとしてロベール・ファーヴル監修『最新フランス文学史』をバーゲンブックで購入した。本の底の部分に丸Bのハンコが押してある。16世紀の章が内容も一番充実している。取り急ぎこの部分だけ読んだ。文学史なんて主観の産物でそれこそいろいろな区分の仕方が出てくるのはやむを得ない。予言集の位置づけについても一義的に決定されるものではなく、色々な角度から照らして見ることでその実像が立体的に浮き出てくるのではないだろうか。

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