欧米を凌ぐ将棋発想2010/01/25 23:44

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4795810117.html
湯川博士 欧米を凌ぐ将棋発想―9×9は日本人のビジネス兵器である 情報センター 1987年5月5日 を読んだ。かなり古い本であるが紀伊国屋のウェブを見ると、お買い物カゴのマークが出ている。今でも入手可能なのだろうか。タイトルに将棋とあるので戦術書かと思って読むと大間違い。何せ、欧米を凌ぐなんて大風呂敷を敷いているのだ。将棋から得られた発想を日本のビジネスマン向けに普遍的な教訓として説いている、ちょっと毛並みの違った本である。将棋の考え方を、基本、序盤、中盤、終盤に分けてビジネスとのアナロジーを演出している。将棋を知っている人なら、局面も数多く挿入されているのでサッと読むことができる。中にはちょっとコジツケじゃないの、というのもあるが、全体的には非常に面白かった。

そもそもの目的が将棋を越えた普遍的な勝負術をビジネス訓として啓蒙することにあったようだが、逆にいえば初段を目指すくらいのビジネスマンが将棋を勝つための様々な手筋やテクニックなどを覚えるのにちょうどいい教材にもなる。将棋もビジネスも相手との細かい駆け引きが不可欠である。勝負における勝ち負けのポイントは「勝負的発想法」という。不利な局面のときこそ、その人の本当の実力が発揮されるものだ。将棋の強い人ほど最後の投了まで諦めが悪く、相手の心理を突いて嫌味嫌味と迫ってくる。決して自ら暴発して一気に負けになるような手順を選ぶことはなく、粘り強く指してくる。こういった心構えは人生の色々な場面においてもきっと遭遇するはず。本書は著者の実戦経験から実際の将棋のある局面における考え方から普遍的な教訓を引き出す。

参考になる心得を少し引用しておこう。一手で二手分が受けの極意。苦しいときは、まず夢を描け。「勝てるか」ではなく「まだ戦えるか」にこだわれ。勝者の事なかれ主義をつけ。勝勢の時は単純に、敗勢の時は複雑に。敵の目になって自陣を見直せ。是非とも自身の実戦に生かしていきたいものである。

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