第36期女流名人位戦第二局は里見が勝ち、奪取まであと1勝2010/01/31 20:46

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第二局も日曜日の対局となり、平日はリアルタイムで中継を見られない将棋ファンも堪能できたのではないか。外出から戻って上のサイトに接続したところすでに終局していた。結果は里見の勝ち。これで出だし2連勝と初の女流名人位にあと1勝と迫った。早速棋譜をパソコン画面で並べてみると、序盤から清水が趣向を凝らしていた。里見の中飛車を阻止しようと、角道を開けずに飛車先の歩を突いて手損覚悟で角交換。後手の4四の歩をあえて突かせることで里見の得意戦法を封じようとする強い意志が感じられた。それでも里見は△3二金と上がり中飛車に振る。こちらも得意とする筋に飛車を振って、自分の力を十分出し切れる形にしようという信念か。

陣形だけ見ると、先手は銀矢倉、後手は片銀冠という形に落ち着いた。中継のコメントや伊藤真吾四段の解説も充実しており、局面がどう進んでいるか、観戦している人にわかりやすい。それによれば里見は棋理にかなった自然な指し手を積み重ね、以前に比べて安定感を増しているようだ。タイトルホルダーになってから相当力をつけたのだろう。無造作な序盤で形勢を損ねて、終盤力でひっくり返すというイメージは今の里見にはない。とはいえ清水も百戦錬磨、中終盤も粘り強いし最後まで諦めない執念を持っている。そこを突破するのは大変である。棋譜をコンピュータ解析にかけてみた。すると、71手目▲3八角が疑問手とある。この手は7筋の桂頭に狙いをつけた手だが、直後の△5六歩があってはどうだったか。

もし自分が指すのであれば、▲6五歩から▲6六銀の形を目指して角を手駒にしておいたほうが難しいかったのでは。この手を境に里見はじわりじわりと形勢に差をつけていく。最後はわかりやすい一手勝ちに持ち込み、終盤は余裕を持って余した。コンピュータによれば132手の△6七同角成では△7八飛以下27手詰があったようだが本譜も自然な手で勝ち切った。あと1勝で念願のタイトルを獲得することができる。今の里見を見ていて大崩れするとは考えづらい。夢に一歩近づいたといえる。