第59期王将戦第二局は羽生が勝って1-1のタイに2010/01/29 23:58

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仕事帰りの電車の中、モバイルPCを開いて中継サイトに接続したところすでに対局は終了していた。結果は羽生が勝って1勝1敗のタイに戻した。今期の王将戦はこうしたシーソーゲームで第七局までもつれそうな雰囲気である。コメントを読み流して棋譜を並べてみると、終盤戦は双方が秘術を尽くした熱戦で最後までどちらが勝つかわからない好局であった。これぞまさにトッププロのなせる芸である。羽生の93手目▲7二とにはびっくりした。相手玉を寄せるための重要なタネ駒に見えるからだ。羽生は残り時間28分のうち22分を投じてこの局面の最善手を読みふけった。終盤の22分は大長考の部類に入るだろう。これぞ、羽生という渾身の勝負手であった。

今こうしてパソコン画面で並べてみると、コメントに感想戦の検討内容が追加されている。検討陣もまったく見えていなかった寄せ手順。95手目▲7一銀も一目打ちづらい。△6三玉から上部に脱出されそうで相当読みが入っていなければ打てない銀である。結果的にはこの手が勝因となった。久保は「△6三玉で少し残せるか」と見ていたようだが、結果的には△8四歩しかなかった。お互いの読みと読みとのぶつかり合いで火花が散る。久保も深く読んで迷ったようだが、深く読んだからといって正解かどうかはわからない。ここではさすがに羽生が読み勝ったようである。とはいえ、傍目にはまだ勝負の結末は見えてこない。控室では後手勝ちと見ていたが、検討で先手勝ちの結論が出たほど難解な終盤戦だった。

最後は両者1分将棋の激闘も、113手目▲5四桂でようやく羽生の勝ちが見えた。久保も終盤粘り強く指したが羽生が強すぎた。しかしこうしたねじり合いで久保も十分な手ごたえを感じたことだろう。次の先手番はもう一度石田流三間飛車を投入するか、あるいは四間飛車にするのか。序盤作戦にももう一工夫ほしいところである。