第59期王将戦第一局は序盤から急戦に2010/01/15 23:20

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本日より第59期王将戦七番勝負が開幕した。王将戦と言えば七冠フィーバーを思い出す。谷川が一度は七冠制覇を阻止するも、羽生がほかのすべてのタイトルを防衛し、最後に王将を奪取して奇跡の七冠を達成してから早15年経つ。そこから羽生は実に12期王将位に就いている。これも凄い成績である。これだけ羽生がタイトルを取ってしまうと当然割を食ってしまう棋士も出てくる。久保は対羽生のタイトル戦は4回を数えるが星勘定の上では完敗である。羽生がとてつもない大きな壁として立ちはだかっている。しかし昨年の棋王戦で初タイトルを獲得、今が一番充実して力が出せるときである。久保自身も現在の持てる力を絶対王者の羽生にぶつける格好のタイミングと捉えていることだろう。純粋振り飛車党のタイトル戦はアマチュアにも見ていてわかりやすい。

さて先手の久保の作戦は予想された早石田。当然十分な研究の上で自らが編み出し升田賞を受賞した新手を羽生にぶつけてくる。これに羽生がどのようなテーマ局面を用意しているのか。その答えは序盤早々示された。玉の囲いも中途半端な状態で18手目△6五歩と開戦。攻めが軽そうなだけに久保の絶好の捌きを許してしまうのではないかと思える。早速序盤から長考かと思いきやお互い研究済みであるのか比較的指し手が早い。居飛車側の玉が4二のままで戦いが始まること自体が珍しい。普通なら何も考えずに△3二玉までは指しそうなものだ。初日の展開を見ると、アマチュアなら玉の安定している先手が圧倒的に勝ちやすいだろう。しかし後手を持っているのが羽生、序盤でポイントを上げても中終盤のねじり合いを乗り切らなければ勝利は見えてこない。

封じ手の局面は▲5六歩△同銀と久保が技をかけにいったところ。ちょうど角筋も通ったところだし後手の銀も先手の飛車の利きに呼び込んでいる。もっとも先手の玉のコビンは要注意。後手はどこかで7三の桂馬を捌きたい。もしかするとこの局面ではすでにどちらかに形勢が傾いている可能性がある。一目は▲5五歩である。飛車が逃げれば銀がタダなので取る一手だが△同飛は▲同角△同角に▲5六飛。△同角は▲同角△同飛に▲4六角くらいか。明日は開始早々目が離せない。