好きなことだけやればいい2010/01/05 23:41

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4901784005.html
中村修二 好きなことだけやればいい バジリコ 2002年4月 を読んだ。著者の中村氏といえば、古巣の日亜化学工業を相手取り、青色LEDと青色レーザー、それに付随する特許の権利を巡って東京地裁に訴訟を起こしたことで一時期マスコミをにぎわせたのを覚えている。その正当な対価を支払うべきという、一サラリーマンの逆襲に見える果敢な行動力に内心喝采を送った人も多いだろう。本書を読んで中村氏の主張にももっともな言い分があるとわかった。中村氏はご自分の経験に基づいて人生の指南をしてくれる。ただし、氏の成功はもちろん才能と努力の賜物に違いないが、トーナメント理論でいうところのどんどん勝ち進んで行き、たまたま最後まで残った一人になった、漠然とだがそんな印象も受ける。結局のところ2005年に8億4千万で和解が成立した。

この本は書き下ろしなのだろうか。あるいは個別に発表した文章を一冊の本にまとめたものだろうか。というのも各章において結構重複した話が出てくるのでごつごつした感じを受ける。決して表面的にはスマートな文章とはいえないが、著者の主張が行間からにじみ出てくる臨場感を重視したのだろう。そのせいか非常に面白く仕上がった。なかでもロボットサラリーマンというのはなるほどと思った。自分で考えることをせずにただ上から言われたことを何の疑問も持たず従順に仕事をこなす永遠のサラリーマン。会社の道具になるのだったら一旦やめちまえ。そして自分の独創的なアイディアで起業せよ。平凡なサラリーマンは当たり前の日常のなかで仕事をしている。それを捨て去るというのはなかなか難しいので、元スーパーサラリーマンの経験談は夢と希望を与えてくれること間違いない。

各章の見出しは著者のワンポイントアドヴァイスのようになっている。逆転へのスピンアウト、自分の頭で考えろ、自分の成功パターンを作れ、自分のことをよく理解しろ、好きなことだけやればいい。これはビジネスのみならず将棋のような勝負事にも十分通用する。「自分の好きなことをやるために必要な行動を起こす」必ずしもうまくいくとは限らないが、人生を面白可笑しく生きていくには自分に自信を持つことが一番であろう。もう一回読んでみたくなる本である。