第59期王将戦第一局は久保が寄せ切って1勝目2010/01/17 02:04

http://mainichi.jp/enta/shougi/index.html
久保が終始ペースをつかんでうまく終盤戦を乗り切った一局といっていいだろう。羽生の追い上げにも冷静に対処し、最後は着実に寄せ切り、奪取に向けて幸先のいい1勝目を挙げた。以前の羽生とのタイトル戦では、いい将棋を作りながらも羽生の終盤力の前にわずかに届かないことが多かった。今回は76手目△6五金のような勝負手も想定したとの感想もあり、羽生が苦しめのときに繰り出す意表手も抜かりなく読んでいたことが勝因といえる。85手目▲3八銀が相手の攻めのスピードを見切った手で、以下も難しそうに見えたが久保の勝ち筋となり、残り時間も少ない中で鮮やかな即詰みに打ち取った。

封じ手の予想は外れ▲2二角成。言われてみれば、同じように▲5五歩と打つ変化になったときに2二銀と壁銀の形にしておいたほうが得なようだ。局面が落ち着いて△3三銀から△3一玉の手がまわれば後手の手得となるのだが。47手目▲7三角成と桂得したところでは歩切れながらも後手の玉形が中途半端で先手有利に見える。局後の羽生の感想でも「玉が4二のままで仕掛けたのがどうだったか」とあり、後手の仕掛けが少し無理だったようだ。それでも羽生は手を変え品を変え嫌味をつけてくる。一番の勝負どころは後手が62手目△7五桂と飛車取りに打ったところ。駒がいろいろと当たっていて自分の実戦だったら一番間違えやすい。実際▲8八銀と角を取る変化は難しかったという。

以下▲6五飛に△5九飛成が羽生マジックともいえるハッとする手。角を取ると△4八金で先手玉に受けがなくなるので▲同金の一手。この手を見ただけでも会場で観戦された方は満足だろう。羽生もゆっくりしていられないので先手先手を攻めるが結局届かなかった。本局を見る限りでは、久保の今までと違うぞという気迫と決断の良さを感じる。次の後手番はおそらくエースのゴキゲン中飛車を投入するだろうが、例の居飛穴に組む対策を是非示してもらいたい。

恐怖の大予言ミステリー992010/01/17 23:50

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4575301884.html
南山宏監修 恐怖の大予言ミステリー99 双葉社 2010年1月10日発行 を読んだ。少し前に紀伊国屋のブックウェブ上で知ったが、最近になってコンビニで見つけて購入した。価格は500円。ノストラダムスと予言について、「第6章 ノストラダムス間違ったのは誰だ?」でファイル70から75で触れている。海外のノストラダムス本の訳書を何冊も手掛けた南山氏の監修だから少しはまともな内容かと期待してみたが、類書に違わず安直でデタラメな書き飛ばしである。まあナントいうかトイレの落書きのような印象である。正確な情報を伝えるというよりは、読んで面白ければ偽情報でもなんでも取り込もうとする無節操ぶりには唖然とする。ファイル70では冒頭から中世ルネサンス期なんて聞きなれない表記がされている。それどころかファイル71では単にルネサンス期とあり、明らかに一貫性に欠いている。

さらに最悪なことに、ファイル70、71では五島氏の最初の『大予言』にのみ登場する数々の創作エピソードや実際には存在しない予言集11-6の創作詩をわざわざ取り上げている。引用されている予言集の画像(183頁)や解説書の画像(125頁)は、ウィキペディアから転載したと思われるがどこにも言及がない。もっともウィキペディアをきちんと参照していれば、今頃になって架空のエピソードを挿入するなんてあり得ないのだが。ファイル72では最近話題になっている予言絵画を取り上げている。絵の余白に四行詩が書き添えられているものがあるというのは嘘である。原本を見てもラモッティが引用している予言詩はどこにも見当たらない。また187頁の「ノストラダムスが友人に当てた(宛てたが正しい)直筆の手紙」というのも間違い。ジャン・モレルへの手紙と混同したものか。実際は遺言書補足書の最終頁である。

ファイル74では、性懲りもなくクロケットの極秘予言を取り上げている。「疑問は、なぜこれらの詩を発表せずに、自宅に隠したのかということだ。研究者の間では、ノストラダムスが世間に公表されるのを望まなかったからだとする説が有力視されている」まず自宅から見つかったという事実が存在しない。実証的な立場の研究者によりクロケット本が出た当時から否定されている。さらにその極秘予言とキャプチャーされている手稿の画像を載せているが、これもデタラメの極致。よく見れば、ヴァティチーナ、ミカエリ・ノストラダミとあり、二つの手稿は予言絵画の冒頭に置かれたものである。インターネット上から入手した画像であろう。下のウェブサイトには中世の預言に関連する『教皇預言集』やノストラダムスの予言絵画の画像が集められている。関心のある方はのぞいてみたらいかがであろう。

http://homepage.mac.com/sevenstarhand/Vatican_Evil_Illuminated/index2.html