本を読む本2008/10/15 23:55

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4061592998.html
M.J.アドラー、C.V.ドーレン 外山滋比古 槇未知子訳 本を読む本 講談社学術文庫 1997年 を読んだ。1940年に米国で刊行されて以来ずっと読み継がれてきた名著、と謳い文句にある。その題名の通り本の読み方を指南したものであるが、この著者は読者に対してかなり挑戦的、あるいは挑発的である。これまで自分自身の本の読み方なんて漠然としか考えたことがなかったが、そのモヤモヤした部分を実に論理的に整理してくれる。積極的読書によってすぐれた読書家になるべしと高圧的な物言いなので最初は違和感を感じた。読み進めるうちにずっとこんな感じなので慣れてしまったが・・・

読書のレベルを四段階に分けている。初級読書、点検読書、分析読書、シントピカル読書と進むにつれて上級になる。読んだときはなるほどと感心するが実際には完全に消化できていないはずなので時間を置いてもう一度読み直してみたい。本の分類として小説、詩などのフィクション、知識を伝える「教養書」に分けているが、難しい本を苦労して読み進めることで読書スキルが上がるというのもよくわかる。苦労して読むのには特別な集中力が不可欠なのだから。著者はこの本で述べた読み方はどんな本にもあてはめることができるとしている。読んでいる間に正しく(!)質問する、読みながらそれに対する答えを見つけることで読書の技術が上がるというのも説得力がある。

第四の読書レベル、シントピカル読書というのはあまり聞き慣れない言葉だが、同一主題について二冊以上の本を読む方法を言っている。詳細は本書を読んでいただくしかないが、こうした読み方をアウトプットしているのがウィキペディアの記事に近いのではないか。シントピカル読書の5つの段階なる説明を受けて特にそう感じた。