近代将棋の休刊について思う ― 2008/05/20 01:07
http://www.kinsho.net/
日曜の朝いつものように週刊将棋に目を通していると、「近代将棋」休刊の記事が目に入り驚いた。59年の歴史に区切りとある。記事には年内の復刊を目指すとあったが事実上の廃刊とみてよい。自分が初めて購入した将棋雑誌が近将でそれから毎号欠かさず読んでいただけにショックも大きい。もっとも昨今将棋雑誌は採算が取れずどこも苦戦している。将棋連盟から出ていた初心者向けの将棋マガジン、アマチュア将棋連盟の機関誌だった将棋ジャーナルなど、商業ベースに乗らないにも関わらず刊行を重ねた挙句慢性的な赤字が膨らんで廃刊となった。歴史のある近将もその例に洩れなかった。
自分が将棋を始めた頃は将棋雑誌の数も多かった。上記以外にも、枻将棋讃歌や将棋クラブ、支部機関誌「将棋」など。しかし当時もそんなに売れていたとは聞かないので将棋好きの発行者がロマンを追い求めていた感じだったのだろう。今回の突然ともいえる休刊の経緯については最終号となった6月号の鬼六面白談義に詳しく書かれている。近代将棋がナイタイに引き継がれて11年になるが、累積赤字はなんと五億円にもなる。単純計算すればひと月で370万円の欠損。もちろんこんなビジネスが未来永劫続く道理はない。経営状態は悪化する一方となり執筆者に原稿料を支払う金もままならない。鬼六氏もジャーナルのオーナーのときに同じような経験をしたらしい。
この二か月というものは編集部でも壮絶な状況であった、と編集後記にある。稿料なしで執筆してくれる寄稿者だけで将棋雑誌を運営するなんて無茶もいいところ。前編集長はスタコラサッサと退いて新人を編集長に据えたが、先月号や今月号は雑誌の作りがいかにも素人という印象を受けたのはやむを得ない事情だったのだろう。インターネットで豊富な情報が無料で得られる今の時代には将棋雑誌の存在意義が問われている。最後に残ったのは連盟の将棋世界だが、こちらだって対岸の火事とはいえないはずだ。そんななか明日から名人戦第四局が始まる。
日曜の朝いつものように週刊将棋に目を通していると、「近代将棋」休刊の記事が目に入り驚いた。59年の歴史に区切りとある。記事には年内の復刊を目指すとあったが事実上の廃刊とみてよい。自分が初めて購入した将棋雑誌が近将でそれから毎号欠かさず読んでいただけにショックも大きい。もっとも昨今将棋雑誌は採算が取れずどこも苦戦している。将棋連盟から出ていた初心者向けの将棋マガジン、アマチュア将棋連盟の機関誌だった将棋ジャーナルなど、商業ベースに乗らないにも関わらず刊行を重ねた挙句慢性的な赤字が膨らんで廃刊となった。歴史のある近将もその例に洩れなかった。
自分が将棋を始めた頃は将棋雑誌の数も多かった。上記以外にも、枻将棋讃歌や将棋クラブ、支部機関誌「将棋」など。しかし当時もそんなに売れていたとは聞かないので将棋好きの発行者がロマンを追い求めていた感じだったのだろう。今回の突然ともいえる休刊の経緯については最終号となった6月号の鬼六面白談義に詳しく書かれている。近代将棋がナイタイに引き継がれて11年になるが、累積赤字はなんと五億円にもなる。単純計算すればひと月で370万円の欠損。もちろんこんなビジネスが未来永劫続く道理はない。経営状態は悪化する一方となり執筆者に原稿料を支払う金もままならない。鬼六氏もジャーナルのオーナーのときに同じような経験をしたらしい。
この二か月というものは編集部でも壮絶な状況であった、と編集後記にある。稿料なしで執筆してくれる寄稿者だけで将棋雑誌を運営するなんて無茶もいいところ。前編集長はスタコラサッサと退いて新人を編集長に据えたが、先月号や今月号は雑誌の作りがいかにも素人という印象を受けたのはやむを得ない事情だったのだろう。インターネットで豊富な情報が無料で得られる今の時代には将棋雑誌の存在意義が問われている。最後に残ったのは連盟の将棋世界だが、こちらだって対岸の火事とはいえないはずだ。そんななか明日から名人戦第四局が始まる。
名人戦第四局はまたしても力戦形 ― 2008/05/20 22:57

http://www.asahi.com/shougi/index.html
前回終盤の大失着で好局を落とした森内の後手番が注目された。先手番を落としたのだから自分も後手番を勝ち切らないと防衛が苦しくなってくる。後手番での一手損角換わりは予想の範疇であるが、9筋の位を取って△2二飛と振ったのは思い切った作戦である。佐藤二冠が得意としているが、最近では敢えて乱戦の誘いに乗らずに手得を生かして先手に穴熊に組まれると後手面白くないというのが定説となりつつあるからだ。さらには先手から▲6五角と打って馬を作る手もあり、後手としては自信の持てる展開に持ち込みづらい。羽生は後手の欲張った駒組みは許せないと15手目▲6五角と打って馬を作る。
前例があるにせよ、後手としては持ち時間9時間の名人戦で選択する作戦とは思えない。当然森内は研究範囲なのだろうが、24手目の△5四金が名人に定跡なしといえる力強い一手。並みの構想ならば7二に飛車を振り直して矢倉を目指すところだろう。それに対して先手の駒組みは至って自然である。封じ手の局面は先手が▲5八金と上がったところ。後手は玉を固め合う展開にはならない。黙っていると先手は▲5六歩から▲5五歩と金を目標にする手がある。いったい森内はここからどのような構想を認めているのだろうか。封じ手予想としては△6四歩が有力であるが△7二銀もありそう。いやもっと別のことを考えているかもしれない。
こうした将棋は形勢のバランスを図るのは非常に難しい。もしかしてすでにどちらかに傾いているかもしれない。自分ならとても後手の陣形をまとめる自信がないが、そこは百戦錬磨の名人。明日の午前中も一手一手長考が続きそうである。
前回終盤の大失着で好局を落とした森内の後手番が注目された。先手番を落としたのだから自分も後手番を勝ち切らないと防衛が苦しくなってくる。後手番での一手損角換わりは予想の範疇であるが、9筋の位を取って△2二飛と振ったのは思い切った作戦である。佐藤二冠が得意としているが、最近では敢えて乱戦の誘いに乗らずに手得を生かして先手に穴熊に組まれると後手面白くないというのが定説となりつつあるからだ。さらには先手から▲6五角と打って馬を作る手もあり、後手としては自信の持てる展開に持ち込みづらい。羽生は後手の欲張った駒組みは許せないと15手目▲6五角と打って馬を作る。
前例があるにせよ、後手としては持ち時間9時間の名人戦で選択する作戦とは思えない。当然森内は研究範囲なのだろうが、24手目の△5四金が名人に定跡なしといえる力強い一手。並みの構想ならば7二に飛車を振り直して矢倉を目指すところだろう。それに対して先手の駒組みは至って自然である。封じ手の局面は先手が▲5八金と上がったところ。後手は玉を固め合う展開にはならない。黙っていると先手は▲5六歩から▲5五歩と金を目標にする手がある。いったい森内はここからどのような構想を認めているのだろうか。封じ手予想としては△6四歩が有力であるが△7二銀もありそう。いやもっと別のことを考えているかもしれない。
こうした将棋は形勢のバランスを図るのは非常に難しい。もしかしてすでにどちらかに傾いているかもしれない。自分ならとても後手の陣形をまとめる自信がないが、そこは百戦錬磨の名人。明日の午前中も一手一手長考が続きそうである。
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