哲学の歴史 第4巻ルネサンス【15-16世紀】2008/04/13 23:33

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4124035217.html
伊藤博明 責任編集 哲学の歴史 第4巻ルネサンス【15-16世紀】 中央公論新社 2007年 を購入した。このシリーズは中央公論新社の創業120周年記念出版ということで随分と力が入っている。巻末の刊行リストを見ると、全12巻プラス別巻の予定とある。15-16世紀のいわゆるルネサンスものは好きな分野でいろいろな本を読んだが、専門の哲学書というのは少々敷居が高い感じがしていた。今回の本はいろいろと工夫が凝らされており素人でもとっつきやすい。参考文献、索引、年表も充実している。

まず総論で世界と人間の再発見ではルネサンス思想の流れを追う。本文の欄外にはポイントとなる要約を見出しのように載せているので、必要な記述がどこにあるか探しやすい。見開きのページに脚注がるのもわかりやすい。本論ではルネサンスの代表的な思想家を個別に取り上げて専門家が解説している。哲学というと何か無意味に難しい言葉で表現するという印象があるが、一般の読者でも読みこなせるよう平易な言葉で書かれている。この一冊があればルネサンス哲学の概要を一通り把握することができるだろう。

いくつか挿入されているテーマごとのコラムも面白い。現代の目で見ると時代の流れで捉えがちだが、当時の人々は1000年ものキリスト教思想に縛られた中世の時代から抜け出そうとしている。そんな人文主義の新風を受けて、人間個人の立場にたったいろいろな考え方が持ち込まれた。現代でも新たな風を吹かせるためには既存のしくみを疑うことが不可欠である。この本は16世紀に身を置いてみたとき、新時代のロマンを感じさせてくれる。

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