名人戦第一局は森内が先勝、羽生不可解な飛車切り2008/04/09 22:43

http://www.asahi.com/shougi/news/TKY200804090038.html
名人戦第一局は先手の森内が勝ち防衛に向けて幸先の良い1勝目を挙げた。二日目の昼食休憩時には、森内のほうが指し手が難しく羽生のほうが指しやすいという評判である。実際、4五の位を取ったもののそれに続く構想がよくわからない。ところが55手目の▲3七桂と跳ねたところでは次の▲2四歩が滅茶苦茶に厳しく先手有望に思える。羽生に何か誤算があったのだろう。やむを得ず56手目△8六歩と動いていった。▲同角に△同飛と突然飛車を切ったのは、らしからぬ暴発であった。不可解としかいいようがない。

この手を機に形勢は先手に傾いていく。その後はあっという間に激しい切り合いへと突入していった。先手有望とはいえ勝ちに持っていくにはまだまだひと山あるかと思われたが、森内の指し回しが絶品であった。69手目の▲4四歩、71手目の▲2四歩などは思わず唸ってしまう。さすがの羽生もほどき切れなかった。この手が事実上の決め手といってもいいだろう。この後の先手の寄せはわかりやすく着実に寄せきった。84手目には羽生らしい怪しげな△6六飛という手も飛び出したが形作りにすぎない。結局先手玉は詰まずに羽生の投了となった。

まだ先は長いとはいえ森内は先手番をキープしたことで精神的に落ち着いたはず。内容も終わってみれば完勝といえる。次の第二局を制すことができれば防衛が見えてくる。逆に羽生は次の先手番は絶対に落とせない。今回の失敗をうまく立て直すことができるかどうか。第二局以降も楽しみである。