ルネサンスとは何であったのか2008/04/15 23:52

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4101181314.html
塩野七生 ルネサンスとは何であったのか 新潮社 2008年 の「第一部フィレンツェで考える」を読んだ。塩野氏といえばローマ人の物語が有名で文庫本で31巻まで刊行されている。ローマ人の本もすべて手元にあるが本棚からはみ出て積みあげられたままだ。塩野氏の本はさすがにプロの作家といえるほど文章は洗練されている。卒論でルネサンス時代のフィレンツェ美術を取り上げたのだが、そこで様々な疑問が浮かんだという。ルネサンス人が中世のキリスト教的価値観から抜け出して新しい価値観を創り上げるために回帰したのが古代ローマである。

ルネサンス人と同化してきた塩野氏がローマの物語を書く理由はなるほどと思う。この本の3分の1以上がフィレンツェで考えるで占められている。ストーリの進め方も工夫されている。質問者と塩野氏との対話形式になっていてすべて話し言葉で書かれている。あたかも読者と面と向かって対話しているような錯覚に陥る。ルネサンスとは何だったのか。非常にシンプルではあるけれど一言で説明するのは難しい。本質的な答えとして、「見たい知りたいわかりたいという欲望が、爆発した時代」としている。

ルネサンスの始まりを聖フランチェスコと政治家のフリードリッヒ二世に見ているのは斬新である。中世におけるローマ法王の権威、フィレンツェで実質的に実権を握っていたメディチ財閥、経済の発展と芸術の振興は切っても切れない関係があるのもうなずける。しかし時代は流れて勢力均衡政策が通用しなくなり他国から攻め込まれる・・・いろいろなドラマがそこらじゅうにあったことは間違いない。