名人戦第二局は羽生が勝って1-1のタイに2008/04/23 23:40

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ずっとどちらが優勢かはっきりわからない難しい将棋であった。お互いに主張を通して派手な応酬があったにも関わらず局面の均衡が取れていた。最後は羽生が疾風のごとく抜き去った印象が強い。封じ手は予想が外れて▲3四歩。先に2筋を突き捨てたので銀交換するものと思い込んでいたが、単に▲3四歩とすると△4四銀のような手が気になるのだろうか。その直後の40手目の後手の△6五歩は強気な一手。角打ちの筋を作った手だが反面先手の桂馬が幸便に跳ねるような手も生じてくる。71手目の▲6三銀が角当たりになっている瞬間でのギリギリの利かし。79手目の▲7五角と王手をしたところでは先手ペースか。

81手目の▲6五桂はなかなか指せない驚愕の手。△5六銀の飛車桂両取りがミエミエだからだ。これが読み筋で先手よしを読み切っているとしたらとてつもない強さである。▲3三歩成から桂頭に歩を打って攻めるのは遅そうに見えてやりづらい。これに対する△4五桂がド派手な一手だがどうなんだろう。△2六歩から△4四角のほうが有力そうに見える。97手目に▲5二銀成と飛車を奪ったところでは先手が優勢になったと思う。しかし先手玉は不安定で勝ち切るのは容易ではない。101手目▲6四桂を打った後に玉を二回連続引いたのが羽生マジック。この忙しい局面で一度ならず二度まで早逃げするという発想が湧かない。

普通だったら緩手になる公算が大きい。しかしどうもこれが決め手となった。最後は1八に落ちている歩を拾って収束。トッププロしか指せない芸を見た思いである。今シリーズは力戦模様の将棋が続いている。次はそろそろ羽生のゴキゲン中飛車が登場するかもしれない。