頭脳勝負―将棋の世界2007/11/12 23:18

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4480063927.html
仕事帰りに久しぶりに本屋に寄った。何か面白そうな本がないかと思ってぶらぶらしていると哲学の棚にアンドレ・シャステルの『ローマ劫掠』があるのを見つけた。お値段は8500円と少々お高いが図版も135点と豊富なのが決め手となり購入してみた。500頁を超す大著であるが暇を見つけて読んでみたい。新書の棚を見ると、渡辺竜王の新刊書が平積みされていた。結構売れ行きがいいらしく増刷が決まったようだ。題名を見てもわかるように将棋の本ではあるが、戦術書ではなく将棋を知らない一般の読者に将棋や将棋界をわかりやすく説明したものに仕上がっている。

内容的にはさほど新味はない。あっという間に読んでしまった。渡辺自身の経験を踏まえて現在の将棋界について上手にまとめている。いや、まとまりすぎて面白くない。持前の毒舌(?)が鳴りをひそめて何かすっかり優等生的な発言に終始している。編集者ももう少し渡辺の持ち味を生かすような構成にしてもよかったんじゃないか。基本的に将棋を知らない人でも読める工夫がされているが逆に将棋ファンから見ると物足りなさを感じる。唯一第一章に書かれている、指し手を選択するときの心理状態はこれまであまり紹介されていない話で興味深い。

現在竜王戦の防衛戦の真っただ中である。タイトルを持っているからこそ、こういった企画も舞い込む。タイトルを失えばただのB1の九段になってしまう。この本は今回のタイトル戦の直前に校了したようであるが、これが吉と出るか凶と出るか。明日から第三局が始まる。

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