第59期王将戦第二局は久保のゴキ中に2010/01/28 23:48

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注目の第59期王将戦第二局の一日目が終了した。上のサイトでは棋譜と中継ブログで詳細を伝えてくれる。天敵羽生から初戦を奪った久保の後手番の作戦は予想されたゴキゲン中飛車。現在のエース級といえる戦法で研究もよく行き届いている。個人的には対居飛車穴熊を見たかったが羽生の作戦は二枚銀からの抑え込み。久保のサバキを警戒して序盤から慎重な駒組みとなった。久保のほうは十分な研究の裏付けによるものか、序盤の岐路となる局面でも割合決断が早い。まだまだ自分の庭のなかで指している感じだ。解説によれば現代棋界最前線の形なのだそうだ。最強の矛と盾の激突はまさに銭の取れる将棋である。久保はタイトル奪取に向けてこの後手番を取れるかどうか、大きなポイントとなる。

ゴキゲン中飛車の将棋を並べるときだけは盤面を逆にして見ている。自分自身の実戦にも出てくる形なので序盤の何気ないところでも参考になる。以前は力戦中飛車と呼ばれ力自慢のアマが指すような戦法だったが、今では序盤の研究も進み、皆が舗装された道路を進んでいく。逆に中盤以降は構想力が求められる。羽生が慎重なのは中盤を見据えて構想を練っているからだろう。対して久保は自然体である。特に終盤時間を残そうとしているわけでもなく、勝負どころまで力を貯めている感じを受ける。28手目の△6四歩は▲3五歩から銀で角頭を狙う手が見えているだけにやりづらい。果たして羽生の▲2四歩の突き捨てから▲4五銀と出たのは積極的な一手である。39手目の▲5三銀の打ち込みはみすみす二枚替えをするだけに何か成算があるはずだ。

封じ手の局面はわかりやすい。▲5三桂成△同飛までは誰が指しても一緒。羽生が封じ手に取り返しの手を選択したことで43手目の指し手を一晩考えることができる。おそらく▲2四飛と走って△2三歩には3四から5四と飛車をぶん回すのが狙いではないか。その後の展開がどうなるかは想像つかない。後手は3二金が最後まで残ってしまうと勝ちづらくなる。サバキのアーティストがどのような手を繰り出していくか、明日も目が離せない。