第68期A級順位戦展望2009/12/20 23:04

今朝届いた週刊将棋の一面には「佐藤 悪夢の6連敗」の見出しがついている。第68期A級順位戦はちょうど6回戦を終了したところ。挑戦者争いは5-1の谷川がトップ。ここ数年は残留争いに回っていただけに久しぶりの快進撃となる。個人的には同世代の奮戦を応援したいが順位戦には魔物がひそんでいるといわれる。1敗のまますんなりいくとは思えない。残り3戦を全敗する可能性だってあるのだ。A級順位戦はトップ棋士が血の滲む思いで一局一局を積み重ね、最後にようやく結果が出るものなのである。上位といえども正直星勘定は難しい。それでも最後は落ち着くところに落ち着くはずである。それにしても佐藤の6連敗はどうしたことだろうか。

一昨年も開幕からいきなり6連敗したが残り3連勝で辛くも残留している。ところが今期は混戦ですでに8名が3勝を挙げている。残りを全部勝ってもすでに自力はなくなっている。相当に厳しい状況に追い込まれたといっていい。佐藤は永世棋聖の資格者で名人経験者でもある。A級棋士というステータスはトップの証し、ここを落ちてしまうとA級復帰しない限り名人復位への道が閉ざされてしまう。なによりプライドが許さないであろう。佐藤自身は棋王戦の挑戦者決定戦にも進んでおり、絶不調というわけではない。それなのにいまだに白星なしで年を越すことになってしまった。かつてのチャイルドブランドも40歳という年齢の壁には勝てないのだろうか。

佐藤の残留する条件はもちろん残り3勝しかないが、2位という順位の良さで作れば何とかならないか。直接対決があるので陥落の一人は藤井と仮定。あとは3勝で順位が最下位の井上を見ると、残り3戦を全敗すると3勝5敗で頭ハネとなる。しかし井上が1つでも勝てば佐藤より上となる。これだけ見ると、佐藤の陥落は決定的のように見える。佐藤が残留争いでどこまでドラマを生み出すことができるか、残りも注目していきたい。