フォンブリュヌのノストラダムス本の英訳2009/12/16 23:54

インターネットもなかった30年ほど前には洋書を購入するといえば丸善であった。今でこそ世界中の古本が簡単に検索でき、それこそマウスのクリックひとつで海外書店に注文ができてしまう。自分が調査し始めたのは80年代に入ってからだが、当時は海外文献の情報は丸善の店に置いてあったBOOK IN PRINTなどを調査してリストアップ、注文書も手書きで書いていたはずだ。時折丸善を訪れては棚にノストラダムス本を探してみたが、もちろん置いてあるはずもなく海外の取次店から取り寄せするしかなかった。手元に届くのに2-3ヵ月はかかり、入荷の案内が来て店頭に受け取りに行くというシステムだった。今思えばなんとも面倒なようだが、入荷案内の葉書を握りしめてどんな本が届いただろうとワクワクしながらカウンターの係の人に声をかけたのを覚えている。

いわゆるノストラダムスブームでコーナーができたのを別にすれば、手元の本で棚に見つけて購入したのは唯一これだけだったと思う。その本とは1984年にパンより出版されたジャン・シャルル・ド・フォンブリュヌの"Nostradamus: Countdown to Apocalypse"(ノストラダムス、黙示録への秒読み)である。フランスでノストラダムスブームを引き起こした『ノストラダムス、歴史家にして予言者』の英訳本で、占星家のリズ・グリーンが序文を寄せている。手元の本を見ると、洋販PBシリーズ定価1250円のシールが貼ってある。英ポンド150円だから相場は今とそれほど変わらない。当時も円高だったのだろう。英訳本といっても日本語版『新釈ノストラダムス』とは異なりほぼ原書に忠実に語釈なども載っている。この本を基にたまの原典にフォンブリュヌの解釈のメモを書き込んだりしたこともあった。

最近紀伊国屋のブックウェブで1985年版OWL BOOKS版の"Nostradamus: Countdown to Apocalypse"を961円で入手した。本の装丁は異なるが頁の割り付けなど内容に関しては同じように見える。他にもいろんなバージョンがあるほどフォンブリュヌの本は当時話題になっていた。もちろん『ノストラダムス、歴史家にして予言者2』の英訳本も出版されている。英訳本の初版を出したのと同じロンドンのHUTCHINSONという出版社でタイトルは"Nostradamus 2: Into the twenty-first century"(ノストラダムス2、21世紀に向けて)で訳者も同じAlexis Lykiardである。こちらは当時注文して取り寄せた。