ゲーテの言葉2008/05/27 23:52

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4522475934.html
一校舎比較文化研究会[編] 自分の心をみつけるゲ-テの言葉 永岡書店 2007年 を読んだ。もう20年近く前になるだろうか。観光でフランクフルトにあるゲーテの生家、ゲーテハウスを訪れたことがある。ゲーテの有名な作品といえば『若きヴェルテルの悩み』や『ファウスト』、他にも多くの作品を残したドイツの文豪である。本書では冒頭にカラーの図版入りで簡潔に生涯を追い、ゲーテの作品が書かれた背景を浮き上がらせている。ゲーテ年表についで本書のメインテーマであるゲーテの言葉が見出しと出所を付して、エッセイ風に解説している。

ゲーテの作品や書簡などからちょっといい言葉を集めて、それをわかりやすく現代に置き換えて注解している。前回ちょっと触れた『論語』のニュアンスに近いかもしれない。ある文章のなかでその部分だけ切り取って読むと、すごく含蓄のある言葉に受け取られることもある。もしかすると本人の意図していないことまで読み込まれてしまうから不思議である。読者にも解釈を委ねるようなちょっといいフレーズで満ちている。気に入ったのを見出しで紹介すると、「経験が、経験に振り回されない人を作っていく」「紙の知識、学問を過信するな」「深く進むほど広くなる」「時代の誤りにどう対処するか」等々

ゲーテの言葉は現代の私たちにも十分共感できるものが多い。物のとらえ方についていえば、今も昔も変わらない普遍的な部分が共通しているのだろう。この本を読んで、ゲーテの大作にもチャレンジしてみようかと思った。近所のブックオフには105円で文学全集ものが置いてある。