矢内が勝って初代「女王」にあと1勝2008/04/30 23:12

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本日マイナビ女子オープン決勝五番勝負の第三局が行われた。結果はすでに報じられていて矢内が後手番の急戦で甲斐の四間飛車を破った。矢内の対振り飛車は左美濃と急戦をほぼ半々に採用している。今回の急戦は十分予想された展開である。昨今は女流でも居飛穴党が圧倒的と思われる。たまには急戦の将棋を観戦するのもいいものだ。ただし序盤は形が決まっているため、中盤以降に何か温めた秘手を用意していれば精神的にも持ち時間の上でも優位に立てる。矢内の序盤は積極的に良さを求めるというよりは、ある程度互角に進めて中終盤の腕力で勝負するといった感じが強い。

本局もずっと定跡通りに進んで行ったが48手目△6六歩が狙っていた手ではないか。普通は桂馬にヒモをつける△8三飛や飛車を捌く△8八飛成が考えられるところ。△6六歩と打つと必然飛車の取り合いになり、後手のと金も大きいが手番が先手で急所の△6四歩が飛んでくる。この手をどのくらいの痛打か見極めておかなければ怖くてこの変化には飛び込めない。53手目▲8二飛と銀取りに先着したところでは先手が有望に見えた。しかし矢内も54手目△5八とと勝負手を放ち形勢は混とんとした。62手目△8八飛と王手角取りをかけたところで形勢が入れ替わったようだ。

以後は先手の飛車を召し取って後手玉に迫る手がなくなり、後手が着実に寄せ切った。終わってみれば矢内の中終盤の読みの正確さが光った一局といえる。矢内は持ち時間を43分も残していたこともあり、余裕を持った勝利といえる。甲斐はこれで後がなくなった。うまく開き直りができればまだまだ「女王」の座は手の届くところにある。

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