ノストラダムスの学術的研究の動向2010/03/18 00:18

http://geocities.yahoo.co.jp/gl/nostradamuszakkicho
ここのところ家を空けることが多く、すっかりノストラダムスから離れていた。関連のウェブサイトを覗いているくらいだったが、ノストラダムス雑記帳のブログで『ミクロコスモス第1集』が出版されているのを知り、あわてて紀伊国屋に注文した。昨日宿泊の出張先から帰宅すると『ミクロコスモス第1集』と『ノストラダムス封印された予言詩』上下巻が届いていた。文庫の2冊はざっと目を通して横に置き、さっそく「ノストラダムスの学術的研究の動向」を読んでみた。(同書330-347頁)この論考をhayatoさんが執筆されているのを知ったのは、今から8年ほど前になる。確か初期の草稿も読ませていただき、少し意見を述べた記憶もある。それから随分と月日が流れた。bibliotheca hermeticaを見ても一向に出版される気配がなかったので、諦めかけていたがようやく日の目を見ることができたのは喜ばしい限りである。

この論考については、sumaruさんのコメントで、ほとんど言い尽くされているし、大事典のほうの記事にも追加されている。ノストラダムスの学術研究の主要文献を鳥瞰的に手際良くまとめあげており、中級者以上の方にはノストラダムス研究の有益な羅針盤となる位、完成度が高い。hayatoさんのこれまでに払った文献収集の労力を考えると、その紹介もごくごく一部にしか過ぎないと思われるが、こうした貴重な情報が活字として残るというのは大変ありがたい。細かいところで気になった点を。333頁のRuzoの書誌情報を『ノストラダムスの真正なる遺言』(1970年)としているが脚注の1975年と整合されていない。1970年の根拠は再版の表記の転用が残ったものか。335頁の、通常『百編詩集』と呼ばれる版は1668年アムステルダム版というのも違和感がある。1649年ジャック・ブソーニュ版なんかも該当するのではないだろうか。

さらに論考を読み進めていくと、「4 文学史におけるノストラダムス」と「5 オカルト哲学伝統におけるノストラダムス」がノストラダムスへのさらなるアプローチの指針を示したもので、重要なエッセンスが見事に抽出されている。私見では、この部分こそがhayatoさんのノストラダムスに対する位置づけを明快に示してくれている。なるほどと、感心しながら「6 おわりに」の部分を読み進めると、何故かインターネット上のサイトとして「ノストラダムスサロン」が挙げられている。これはちょっと気恥ずかしい。他のサイトはsumaruさんのを含めて学術的に手堅いアプローチをしている屈指の有名サイト。それに比べると、レベルも随分と見劣りするし・・・こんな立派な論文集に載せていただき、本当はものすごく嬉しいのだけれど、何故か眺めているうちに顔が赤らんでくる。これを励みにもう少しなんとかしなければ・・・

コメント

_ hsysto ― 2010/03/24 17:55

コメント有り難うございます。新戦法さんのおっしゃるとおり、私の今後のアプローチはオカルト哲学伝統にノストラダムスを置く事になると思います。
ノストラダムスについて、このような学術論集に掲載してもらう事は、夢の一つでしたので、非常に嬉しいです。次は論文を、と欲を出して、構想を考えています。

_ 新戦法 ― 2010/03/25 00:01

hayatoさん(ですよね)、わざわざこちらにコメントいただきありがとうございます。

> ノストラダムスについて、このような学術論集に掲載してもらう事は、夢の一つでしたので、非常に嬉しいです。

ノストラダムスというテーマが学術論集に入ること自体画期的なことなので、先鞭をつけたという意味でhayatoさんの功績は大きいと思います。

> 次は論文を、と欲を出して、構想を考えています。

それは今から楽しみですね。是非とも実現に向けて期待しています。

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