竜王戦第三局は先手佐藤のヒネリ飛車に2007/11/13 23:48

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竜王戦第三局の第一日目が終了した。棋譜を再現してみるとまったく予想もしていなかった先手佐藤のヒネリ飛車。事前の戦型予想として、佐藤の先手番なのでまず振り飛車はないだろう。相矢倉か角換わり腰掛け銀か相掛り▲2八飛戦法あたりが順当なところと思われた。これに対して最近の渡辺は先手の作戦に追随することが多い。自分自身の序盤研究と中終盤の読みの自信のあらわれか。ヒネリ飛車は最近ではまったくのマイナー戦法。タイトル戦に登場したのも久しぶりなのではないか。というのもヒネリ飛車側の勝率が悪いからだ。

佐藤はどうして今回ヒネリ飛車を選択したのだろう。一日目の手順を見る限りでは特段新構想のようなものは見せていない。どういった意図があったのか、推理してみる。先にも書いたように渡辺は最近の傾向として先手の作戦に追随することが多い。ヒネリ飛車は先手の勝率が良くないが渡辺もそれほど実戦経験が多いわけではない。中盤まで互角の形勢でいけば経験値の差が出るのではないか。そしてこの戦法だけは細かい事前対策はしていないはず。こんなところが佐藤の狙い目とみる。いつもは渡辺の封じ手のタイミングが絶妙なのだが、今回に限りギリギリの時間で指して敢えて佐藤に封じ手を委ねた。

これも佐藤の意表を突いてゆさぶりをかけたのかもしれない。そして封じ手の考慮時間で指し手を予想できるということもあるだろう。短時間で封じたのであれば玉を充実させる▲3九玉、少考したのであれば▲9七角を推したい。ヒネリ飛車は意外に中盤で差がつきやすい。佐藤に秘策はあるのか。