第67期名人戦第五局は郷田が勝ち3-2に2009/06/03 23:05

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帰宅してネットに接続してみたところ、ちょうど毎日のサイトに郷田勝ちの速報が入っていた。これで3-2と星ひとつ先行し、悲願の名人位奪取まであと1勝と迫った。投了図を見ると、羽生陣が無残な形で残ってしまっている。まだ玉が詰む段階にはないが、攻防とも見込みがないと観念したか、囲碁でいう中押しの感じで羽生が投了した。名人戦という大舞台でこれほど大差の将棋が現れるとはちょっと珍しい。途中千日手模様の局面も現れたが、郷田としてはここまで来てクリンチで逃れられてはかなわない。逆に羽生の動きを二枚の馬で押さえながら手堅く押し切った恰好である。羽生も自陣に手を入れて頑張るがばん回まで至らなかった。

封じ手は予想外の△5二歩。もちろんこの手の可能性も考えていたが、自らの作戦のまずさを認めるような屈伏なのであり得ない感じがしたがこの辺が羽生の柔軟なところだろう。自然な△2九飛成ではすぐ負けになってしまうので早くも粘りに出た手ともいえる。郷田の感想にもあるように、馬ができたところですでに先手が若干良いようだ。その後は羽生の涙の辛抱の手順が続いて一気の決着とはならなかったが、ずっと後手がじり貧、先手優勢の局面が続く。夕食休憩後羽生はようやく居玉を解消して92手目△6一玉から玉形を整えるが、ここでは先手が圧倒的に優勢で郷田は手堅い指し手で羽生マジックを許さなかった。じわじわ押されてお荷物の生飛車が銀との交換となりここで勝負あった。

郷田の勝因は、序盤からの長考で積極的に良さを求める、自身の持ち味がいいほうに実を結んだことに尽きる。目の前に名人奪取というビッグチャンスを迎えたが、ここで浮足立つことがなければ可能性は十分とみる。あとは逸る気を押さえる自分との戦いといえるかもしれない。対して羽生は前期ようやく取り戻したばかりの名人を失冠する大ピンチに追い込まれている。絶対に落とせない次の先手番は最も得意とする相矢倉になるのではないか。

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