第67期名人戦は羽生が勝って逆転防衛2009/06/24 22:03

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三ヶ月にわたる名人戦もいよいよ決着を迎えるときが来た。朝日のサイトのトップに速報が流れたりと報道体制も気合いが入っている。しかし、いかんせん名人戦の中継は有料サイトなので竜王戦に比べるとその盛り上がりの広がりは微々たるものである。順位戦観戦は有料でもいいと思うが、タイトル戦に関しては他のネット中継同様の体制を取れないものだろうか。名人戦のコンテンツとしての価値がどんどん失われていくような気がしてならない。以前にも書いたかもしれないが、支部会費のなかにタイトル戦中継のアクセス権を含めるという案はどうだろう。名人戦は主催に連盟も入っているので支部会員のシステムをもう少し活用してはいかがか。少なくとも現在支部会員に入っているメリットはほとんど感じられない。はっきり言うと連盟に対する寄付金のようなものだ。

最終局ということで熱戦を期待したが、終盤郷田が諦めムードのなかあっさり土俵を割り決着がついてしまった。序盤、羽生の矢倉に対して郷田は左美濃に囲う構想を見せる。しかし羽生が中途半端な玉形のままに攻める形を優先させたことで一方的に攻める展開になった。郷田のほうに勝機が一度も訪れなかったほどの完勝で、羽生が通算6期目の名人位についた。郷田はあと1勝で名人というプレッシャーに打ち勝てなかった印象が強い。左美濃は事前に練ってきた作戦だろうが序盤で迷いの長考が見られた。そのためか終盤持ち時間が切迫して粘り強く指すことができなかった。対して羽生は意表の作戦に対しても十分に大局観の明るさを見せつけた。正直、形勢はずっと互角と思われたが、結果的に31手目▲4六歩からの作戦が秀逸とのこと。封じ手は昨日の予想にある▲7六歩。そこからよく見る矢倉崩しの陣形を整える。

後手が終盤で粘るとしたら・・・80手目△4三歩のところで歩切れを突いて△4三香とすべきではないか。最後は▲6一角を見て投了。負けるにしても最後はもう少し執念を見せてほしかった。羽生のほうはさすがに百戦錬磨で終わってみると完勝での逆転防衛。これで一応四冠を堅持となったが棋聖戦も真っ只中である。今年は王位戦がないので棋聖戦に専念できそうである。