第67期名人戦最終局は相矢倉の力戦模様に2009/06/23 23:48

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いよいよ明日には名人位が決定する。やはりタイトル戦は最終局までもつれ込むと大いに盛り上がる。将棋連盟の興行としても一応成功である。指している本人たちは大変な2日間であるが、名人戦という頂上決戦、世間の注目を集める中で指せるというのは棋士冥利につきる。名人戦に登場するには順位戦でC級2組からA級まで昇級して、さらにA級で優勝しなければならない。他の棋戦とは異なり1年間だけの好調ではたどり着けない険しい道のりである。郷田は将棋世界のインタビューのなかで持てる力を出し切れば名人をとるもよし、とらぬもよし、と男らしい発言をしている。果たしてそうした明鏡止水の心境で臨めているだろうか。名人位を意識するあまり終盤戦にドラマが見られるかもしれない。

最終局ということで先後は改めて振り駒で決まる。作戦も先手後手の両方の分を用意しておかなければならないのがキツイがまあ条件は一緒だ。羽生が先手で矢倉志向は大方の予想通り、これに対して郷田は10手目△5二金右の一手に1時間を越える大長考、自分のペースを作る。こういうときは羽生も歩調を合わせて長考することが多いが本局も11手目▲5八金右に42分考えた。この辺りはお互いの間合いを測っている感じだが1日目であまり手を進めて決定的な形勢がつくのを躊躇したとも取れる。結局羽生は早囲い、郷田は左美濃というきちんと舗装のされていない力戦模様となった。先手の31手目▲4六歩が瞠目の一手。隙あらば飛び掛かるという攻撃に重きを置いた積極的な手である。

この手に△7二飛とまわり先手玉に照準を当てた手に対して羽生が封じ手を行った。消費時間はほとんど一緒。時間調整したかと勘繰りたくなるほどだ。封じ手予想をしてみる。後手の理想は△7四銀と上がって角を6四に引くのが形である。これを阻止するには角の行き先を聴く▲7六歩が有力と見る。明日の打ち上げで勝利の美酒を手にするのはどちらであろうか。