ローマ建国史2008/04/05 22:26

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4003349016.html
アルブロンの大論文「ドミニコ会士ジフル・ド・レシャク(1604-1660)とノストラダムス批評の誕生」を少し読み始めた。ワードファイルのページ数が1062頁と膨大な量なので斜め読みしても全然先に進まない。最初の80頁ほどでいわゆるノストラダムス現象の概括を述べている。ジフルなる人物は『ミシェル・ノストラダムス師の本物の四行詩の解明』(1656年)の著者らしい。従来はエチエンヌ・ジョベールの作品とされてきた。残念ながら、未だにこの本は読んだことがない。この論文のなかでサンチュリの四行詩のソースとしてのローマ史が目に留った。

『ノストラダムスと伝達された知』(1997年、ミシェル・ショマラ出版)の25頁、ノストラダムスの蔵書のNo.9にティトゥス・リーウィウスがある。セザールがペイレスクに宛てた手紙(1629年3月12日)に言及された。同書のギィユ・ポリッツイの論文ではサンチュリにおけるローマ史のモチーフについて概要がまとめられている。それによれば最初にリーウィウスなどの古代ローマ史をソースとして論じたのは神話学者のジョルジュ・デュメジルで、かのブランダムールもこれを受け継いでいる。一例を挙げると、10-89の「煉瓦の壁、大理石に変わらん、57年の間、平和ならん」という句はスエトニスの『ローマ皇帝伝』より、カエサルの死からアウグストゥスの治世57年をモチーフにしている。

リーウィウスの邦訳が望まれたが、ようやく、リーウィウス著/鈴木一州訳 ローマ建国史(上) 岩波文庫 2007年 が刊行された。全三冊とあるのでこれから中巻、下巻が出るはずだ。上巻を読む限りは字も大きく、巻末の注も簡潔で読みやすく仕上がっている。次の出版が待ち遠しい。