第59期王将戦第六局は久保が勝って王将奪取2010/03/17 23:06

http://mainichi.jp/enta/shougi/
ようやくというべきか、久保が大きな壁であった羽生からタイトルを奪取した。これで今の時点で棋王と王将の二冠を達成。棋王戦はカド番に追い込まれているが、今の久保にはそれを跳ね返す力強さを感じる。これまで羽生とのタイトル戦を四度戦ってきたが、どうしても終盤のひ弱さが出てしまい羽生マジックの餌食となっていた。いい将棋を作っても勝ちきれない将棋が続いていた。ところが本局は終盤戦は完全に久保が読み勝っていた。相手が羽生ということを意識することなく、自分の読みに自信を持って指せたことが勝因であろう。久保は58手目△5九金と打った時自玉の際どい詰みなしを読み切って勝ちを意識したようだ。手数は短いが、見ている側には手に汗握る迫真の終盤戦を堪能できた。これぞプロの将棋である。

封じ手からの数手は予想通り。45手目の▲5七香まではひとつの想定される流れなので双方これでいけると読んだ局面であろう。しかし次の46手目△4五桂には意表を突かれた。香車を一枚捨てての食い付きだが手駒不足で切れ筋も見えてくる。だがここでの踏み込みの良さが久保の持ち味なのだ。51手目▲5八同玉のところでは検討陣によると先手良しらしい。52手目△5七歩に対する▲同銀が少しまずかったという。ここは久保の気合が通ったといえよう。あとは難解な終盤戦だが羽生は錯覚していた。63手目▲7四桂で詰みと思っていたそうだ。これまで最終盤で正確無比で間違うことがほとんどなかった羽生が読み間違えたというのは、やはり年齢による衰えもあるのだろうか。こうした競り合いをずっとモノにしてきただけに意外な感じもする。

これで羽生は三冠に後退。4月からは三浦の挑戦を受けて名人戦が開幕する。調子自体は悪いと思えないが、ちょっとした正確さのブレが大きな修正点である。トップ同士ではそこが致命傷となる。名人戦までに立て直せるか、今後も注目してみたい。

ノストラダムスの学術的研究の動向2010/03/18 00:18

http://geocities.yahoo.co.jp/gl/nostradamuszakkicho
ここのところ家を空けることが多く、すっかりノストラダムスから離れていた。関連のウェブサイトを覗いているくらいだったが、ノストラダムス雑記帳のブログで『ミクロコスモス第1集』が出版されているのを知り、あわてて紀伊国屋に注文した。昨日宿泊の出張先から帰宅すると『ミクロコスモス第1集』と『ノストラダムス封印された予言詩』上下巻が届いていた。文庫の2冊はざっと目を通して横に置き、さっそく「ノストラダムスの学術的研究の動向」を読んでみた。(同書330-347頁)この論考をhayatoさんが執筆されているのを知ったのは、今から8年ほど前になる。確か初期の草稿も読ませていただき、少し意見を述べた記憶もある。それから随分と月日が流れた。bibliotheca hermeticaを見ても一向に出版される気配がなかったので、諦めかけていたがようやく日の目を見ることができたのは喜ばしい限りである。

この論考については、sumaruさんのコメントで、ほとんど言い尽くされているし、大事典のほうの記事にも追加されている。ノストラダムスの学術研究の主要文献を鳥瞰的に手際良くまとめあげており、中級者以上の方にはノストラダムス研究の有益な羅針盤となる位、完成度が高い。hayatoさんのこれまでに払った文献収集の労力を考えると、その紹介もごくごく一部にしか過ぎないと思われるが、こうした貴重な情報が活字として残るというのは大変ありがたい。細かいところで気になった点を。333頁のRuzoの書誌情報を『ノストラダムスの真正なる遺言』(1970年)としているが脚注の1975年と整合されていない。1970年の根拠は再版の表記の転用が残ったものか。335頁の、通常『百編詩集』と呼ばれる版は1668年アムステルダム版というのも違和感がある。1649年ジャック・ブソーニュ版なんかも該当するのではないだろうか。

さらに論考を読み進めていくと、「4 文学史におけるノストラダムス」と「5 オカルト哲学伝統におけるノストラダムス」がノストラダムスへのさらなるアプローチの指針を示したもので、重要なエッセンスが見事に抽出されている。私見では、この部分こそがhayatoさんのノストラダムスに対する位置づけを明快に示してくれている。なるほどと、感心しながら「6 おわりに」の部分を読み進めると、何故かインターネット上のサイトとして「ノストラダムスサロン」が挙げられている。これはちょっと気恥ずかしい。他のサイトはsumaruさんのを含めて学術的に手堅いアプローチをしている屈指の有名サイト。それに比べると、レベルも随分と見劣りするし・・・こんな立派な論文集に載せていただき、本当はものすごく嬉しいのだけれど、何故か眺めているうちに顔が赤らんでくる。これを励みにもう少しなんとかしなければ・・・

第35期棋王戦第四局は久保が勝って最終局へ2010/03/20 23:24

http://live.shogi.or.jp/kiou/
この対局の二日目前に難敵の羽生を倒して王将を奪取、初の二冠になったばかりの久保。棋王戦では1-2とカド番に追い込まれており、第四局に敗れると失冠、二冠が三日天下に終わってしまうところだった。佐藤もここまでくればA級陥落の振り替わりに是非とも棋王は奪還しておきたいだろう。結果を見ると、やはり勢いに勝る、久保の研ぎ澄まされた感性と終盤力でなんとか凌いだ感じである。戦型は久保が後手番ならローテーション通りのゴキゲン中飛車は当然予想される。ここで決めたい佐藤の作戦が注目されたが、最近あまり見ない▲7八金型を選択。正直いって振り飛車に対して居飛車からこの金を上がるのは違和感があるが、現在では玉の囲い方も工夫されており、実際には有力な指し方という。

22手目△3三同桂となったところでは、形の上では新戦法の基本形とまったく一緒。5筋の歩を保留しているところがポイントである。解説によるとこの局面は実戦例が3局あって結果はすべて後手の勝ち。見掛け以上に後手が勝ちやすい形なのかもしれない。佐藤のほうは中飛車側の常道である2筋への飛車の転換を警戒しながら、玉を深く囲い金銀四枚を集結させる。用意周到に練ってきた作戦だ。後手の久保は片銀冠でなく銀矢倉へ組み替える構想を披露するが、ここでは先手のほうが少し作戦勝ちのような気がする。佐藤は、玉も固いしここが戦機とみて46手目△4一飛に対して▲3五歩から攻めに出る。ところが72手目△1三角と打たれて先手は大駒を全部失い、小駒だけの攻めになってしまう。明らかに先手がやりそこなった感じがする。

アマチュアの実戦ならば先手のほうが勝ちやすいかもしれない。トッププロ同志だと、少しの優位をキープする技術に優れているので固い玉型を頼りに食いつくだけでは勝ち切れない。久保は先手の薄い端を攻めながら自陣は馬一枚だけで巧みに凌いでいく。優勢な終盤をきっちり勝ち切った久保は流石に絶好調である。このままの勢いでタイトル防衛となれば九段への昇段もついてくる。佐藤が最終局に向けてどういう秘策を練ってくるか、3月30日の年度末の大勝負に期待したい。

第59回NHK杯将棋T決勝は羽生が8度目の優勝2010/03/21 23:53

http://www.nhk.or.jp/goshogi/
将棋界の年度は4月から3月末までとなっている。各クラスの順位戦も終わり、もっともメジャーなテレビ将棋であるNHK杯戦もいよいよ決勝戦を迎える。今年は糸谷旋風が巻き起こったといっていいだろう。A級棋士、タイトルホルダーを破って決勝に進出したのは見事である。対振り飛車の異端戦法、糸谷流右玉を全国ネットで披露して勝ちを収めたのは自信につながったことだろう。決勝の相手は2年連続を目指す羽生。決勝という晴れ舞台で相手が羽生という、棋士としてはこの上ない至福のときを感じたに違いない。もっとも対局が始まってしまえば、そんな緊張もどこ吹く風でいつも通りのペースで指していたように見える。

注目の戦型は羽生が後手番の一手損角換わりを選択した。実は糸谷は準決勝の対渡辺戦で後手番を持って指していた。糸谷が一方的に押し切った将棋で快勝であった。その逆を持つというのは一見矛盾しているように見えるが、どちらを持ってもいい勝負ということなのだろう。15手目、序盤で早めに9筋を突き合ったのが糸谷の工夫。渡辺戦と同じような展開になったときに得な変化があるのだろうか。もっとも途中から指し手が変わり、一気に激しい変化へと突入していった。51手目▲3三銀はわかりやすい直接手でアマチュアならノータイムで打ちそうだが、プロの目からすると少し重たい感じがする。

羽生は56手目△4九角から寄せ合いを目指す。金を取り合ったところではおそらく優劣がついている。一瞬63手目▲5五角と銀を取ったところでは糸谷が勝ち筋になったかに見えたが、羽生も△5七桂成と崩れない。65手目▲3三角成のところで▲6三歩はなかったのだろうか。後手玉は詰めろだし、△同銀と取らせれば角当たりが消える。その後の展開は難しいが本譜が寄り筋になったことを思えば最後のチャンスだったかもしれない。羽生はこれで8度目の優勝。もちろん現役最多で大山十五世にも並んだ。まだまだ優勝回数を伸ばせると思われるので、是非10回の名誉NHK杯を目指してほしい。

新幹線内の無線LANサービス2010/03/24 23:52

http://www.hotspot.ne.jp/
3月22日から岡山のほうへ出張。先ほどようやく帰宅した。東京~岡山間は東海道新幹線で3時間半ほど。行きは飛行機にしようと予約を入れようとANAのウェブを見たが、連休最後の日のせいか満杯。それじゃ新幹線と切符を買いにいったら、こちらもいい時間帯では指定席は満席。さすがに自由席で立って行くのは辛いので予定より早い時間の便を予約した。その長い道のりのなか時間を持て余すのでインターネットを接続してみようと事前に調べてみる。HOT SPOTというNTTコミュニケーションズのサービスで1日利用の1DAY PASSPORTがたまの出張用に使えるかなと思い、試しに申し込んでおいた。24時間だけ利用可能で日額500円。使用期限が9月までというから使用しない時には権利を保有しておくことができる。

行きの新幹線で早速使ってみようかとパソコンを取りだしたものの無線LANがつながらない。エクスプレスエリアは東京~新大阪間のN700系限定なのである。残念ながら乗り込んだのは非N700系。切符の予約した時にそこまでチェックしていなかった。まあ権利はなくならないので、帰りの新幹線でチャンスがあれば試してみよう。帰りの新幹線は直近に来たのに飛び乗ったので自由席。しかしここも満杯。仕方なく新神戸までは立ったまま。そこからは座れたので早速パソコンを取り出してHOT SPOTへの接続を試みる。まず無線LANを表示すると4つの表示が出てくる。そのなかでHOT SPOTのESS-IDである0033をクリックする。するとずっと認証の確認中という表示が出てネットがつながらない。やむなく設定をいろいろ変更して試してみた。

パソコンのワイヤレスネットワークのアイコンをクリック。詳細設定の変更から「ワイヤレスネットワーク接続のプロパティ」で「0033」を選択しプロパティを選ぶ。そこでデータの暗号化をWEPにしてネットワークキーを入力、これがプリントアウトしておいたID表示の「WEP」に該当。さらに認証の設定で「このネットワークでIEEE 802.1X認証を有効にする」のチェックを外す。これで接続が可能となり、HOT SPOT画面でログインとパスワードの入力待ちとなる。それぞれIDとPasswordを入力して、ようやっとネット接続が可能となった。大変便利には違いないが、出張帰りに仕事のメールも見えてしまうのは考えものである。