第59回NHK杯将棋T決勝は羽生が8度目の優勝2010/03/21 23:53

http://www.nhk.or.jp/goshogi/
将棋界の年度は4月から3月末までとなっている。各クラスの順位戦も終わり、もっともメジャーなテレビ将棋であるNHK杯戦もいよいよ決勝戦を迎える。今年は糸谷旋風が巻き起こったといっていいだろう。A級棋士、タイトルホルダーを破って決勝に進出したのは見事である。対振り飛車の異端戦法、糸谷流右玉を全国ネットで披露して勝ちを収めたのは自信につながったことだろう。決勝の相手は2年連続を目指す羽生。決勝という晴れ舞台で相手が羽生という、棋士としてはこの上ない至福のときを感じたに違いない。もっとも対局が始まってしまえば、そんな緊張もどこ吹く風でいつも通りのペースで指していたように見える。

注目の戦型は羽生が後手番の一手損角換わりを選択した。実は糸谷は準決勝の対渡辺戦で後手番を持って指していた。糸谷が一方的に押し切った将棋で快勝であった。その逆を持つというのは一見矛盾しているように見えるが、どちらを持ってもいい勝負ということなのだろう。15手目、序盤で早めに9筋を突き合ったのが糸谷の工夫。渡辺戦と同じような展開になったときに得な変化があるのだろうか。もっとも途中から指し手が変わり、一気に激しい変化へと突入していった。51手目▲3三銀はわかりやすい直接手でアマチュアならノータイムで打ちそうだが、プロの目からすると少し重たい感じがする。

羽生は56手目△4九角から寄せ合いを目指す。金を取り合ったところではおそらく優劣がついている。一瞬63手目▲5五角と銀を取ったところでは糸谷が勝ち筋になったかに見えたが、羽生も△5七桂成と崩れない。65手目▲3三角成のところで▲6三歩はなかったのだろうか。後手玉は詰めろだし、△同銀と取らせれば角当たりが消える。その後の展開は難しいが本譜が寄り筋になったことを思えば最後のチャンスだったかもしれない。羽生はこれで8度目の優勝。もちろん現役最多で大山十五世にも並んだ。まだまだ優勝回数を伸ばせると思われるので、是非10回の名誉NHK杯を目指してほしい。

コメント

_ 糸谷もう少しだった ― 2010/03/22 19:41

NHKは楽しみでしたね。糸谷頑張った。

_ 新戦法 ― 2010/03/23 07:38

糸谷は本当に惜しかったですね。若手が全棋士参加棋戦で優勝するのはNHK杯が一番のチャンスだったのですが。でも早指しの強いところを全国区でアピールできたので次回に期待しましょう。

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