世界の終わり2009/06/26 23:53

帰宅して郵便ポストを覗いてみると海外から一冊の本が届いていた。何を注文していたかすっかり忘れていたのでカタログでも送ってきたかと小包を開く。"Les derniers temps du monde, de l'Antechrist au Jugement dernier"(世界の終わり、アンテクリストから最後の審判まで)というタイトルが目に入った。確か4月の初め頃に注文したリストにあったかなとボンヤリと記憶の糸をたどっていく。最近はインターネット上で注文を入れると届くのが滅法早くなっている。一週間くらいで品物がつくのもざらである。以前なら三ヶ月くらい待つのは当然だったが、便利に慣れ過ぎてしまい感覚が少々麻痺してしまったのかもしれない。この本が出版されたのは1951年、第二次世界大戦中のパリ解放がまだ記憶に新しい時代である。

サブタイトルに歴史と伝統とあるように世界の終りに関する様々なトピックスが盛り込まれている。目次に目を通してみると、第一部 アンテクリスト、第二部 大変動の時代、第三部 メシアの再来、第四部 最後の審判とある。そのなかでノストラダムスにも言及されている。第一部三章に「ノストラダムスはどう考えたか」(23頁)がある。伝統的な的中予言を6篇挙げた後、本題のアンテクリストのテーマに移行する。フォンブリュヌ博士の注釈書をベースに、アンリ二世への書簡から第一(レオニ版23節)、第二(同45節)、第三のアンテクリスト(同55節)のイメージを抽出している。もっとも予言を19世紀から20世紀に当てはめる立場には異を唱えている。そのイメージが聖書の黙示録と大部分が同化しており、アンテクリストに先立つ終りの時の大王を充て込む。

終末の情景は観念論的なもので、ほとんどが聖書のテクストの引用と解説という案配であるが、なかにはピラミッド予言を取り入れている箇所も見られる。著者のバーバランは1936年に"Le Secret de la Grande Pyramide"(大ピラミッドの秘密)を刊行している。最終章の年代記では様々なマテリアルからの年代記を列記しており、2001年を「霊的なキリストの新たな出現」として一区切りをつける。その後はどう見ているか。2500-3000は「大変動の時代、アンテクリスト、メシアの三番目かつ最後の到来、ミレニアム、現在の人類の終わり」これに従うならば、巷間言われる2012年という近未来に人類滅亡が訪れることはないようである。