名人戦第五局は序盤から乱戦に突入した2009/06/02 23:44

http://www.asahi.com/shougi/news/TKY200906020036.html
本日より名人戦第五局が始まった。ここのところタイトル戦がなかったので久しぶりの感じがする。後手番4連勝の2-2で迎えた羽生vs郷田の名勝負も大きな勝負どころを迎えている。本局を制した者が名人位まであと1勝となるのだ。昼休みに朝日のサイトを見ると羽生が横歩取りに誘導していたが郷田は8筋に歩を打たずに▲5八玉の形になっていた。羽生の8五飛システムを避ける意味合いもあっただろう。ところが序盤羽生が△4四角と打って風雲急を告げた。この手は飛車取りと8八の銀を狙っており、一瞬後手の技が決まったかに見えるが先手も返し技の▲2四飛がある。

27手目▲5五角が郷田の妥協なき空中殺法の驚愕手。ここから一気に最終盤へと突入していく。31手目▲5三角成と馬を作った先手がうまくいったようにも見えるが、後手も△2七飛と打ち返して難解な形勢。封じ手は飛車成を無視して郷田が33手目▲2三歩と打ったところ。ここで羽生は異例の大長考に入り、2時間42分考えた末封じ手を行った。確かにこの局面は手が広くて、読んでも読み切れないところだが、一手が勝敗に直結だけに慎重にならざるを得ない。大事なタイトル戦でこれほどお互い突っ張った展開で1日目から最終盤に投入したのは記憶にない。これだけ派手な手の応酬があったのだから実際のところ形勢に差がついているはず。

封じ手予想は・・・一番自然なのは△2九飛成だが▲2二歩成が来る。△4二金の受けにはすかさず角を切って王手飛車が見える。詰みのありなしを読み切らないと指せない局面である。ここに来てはもう穏やかな展開になることはない。明日は早い時間に終局するのではないだろうか。