ノストラダムス予言集の現代語訳2008/11/19 22:53

ノストラダムス予言集は16世紀当時のフランス語で書かれている。四行詩を英訳したり和訳したり翻訳作業を行うということは多かれ少なかれそこに解釈が含まれてくる。フランス人が予言集のテクストと直面するときいわゆる古語や造語など意味が不明瞭な言葉があるにせよ、フランス語としては読むことができる。そうはいっても四行詩の意味が正確に理解できるかといえば、これはまた別の次元である。フランスで出版された解説書には原文をそのまま引用して注釈を行うものもあれば、四行詩を一旦現代語訳して表面上の意味を確定しようと試みるものもある。ジャン・シャルル・ド・フォンブリュヌの"Nostradamus Historien et Prophete"(歴史家で予言者ノストラダムス)では原詩の後に"Traduction"(翻訳)―邦訳では<解釈>となっている―が置かれている。

19世紀の解釈者アナトール・ル・ペルティエの著作では四行詩の原文の後に"Construction"(構文)として、ミシェル・デュフレーヌの百詩篇各巻ごとに解釈をまとめたシリーズ本では、"Traduction litterale"(字義通りの翻訳)として古語を現代フランス語に置き換えている。ピエール・ブランダムールのマセ・ボノム版(1555年初版)の校訂本のなかで"Paraphrase"(釈義)とあるのも現代フランス語訳といえる。手元に1941年にジュネーブで出版されたAndre Stiveneの"Nostradamus en francais moderne, Les Centuries"(ノストラダムス、現代フランス語による百詩篇集)という本がある。1649年ルーアン版予言集のすべての四行詩テクストを現代フランス語に翻訳している。大幅に意訳した詩文については欄外の注記でオリジナルのテクストを掲げている。

どういった具合に現代フランス語に翻訳しているか。試しに有名な百詩篇1-35を引用してみよう。「モンゴメリーがアンリ二世に勝つだろう・・・国王が死去、別のヴァロワ、のちに、悲劇的な死をとげる」ご覧のようにちょっとこれはやり過ぎではないだろうか。ベナズラの文献目録ではサンチュリの137番目のエディションとしているが、予言集のテクストとみていいものかちょっと判断に迷ってしまう。