第50期王位戦第3局は角換わり腰掛け銀に2009/07/30 23:38

http://www.kobe-np.co.jp/50oui/
挑戦者木村の2連勝で迎えた第50期王位戦第3局の一日目が終了した。上のサイトで棋譜は公開されているが解説がないので詳細はよくわからない。よって独断と偏見で記してみたい。先手番の深浦が絶対落とせない一局で採った作戦は角換わり志向であった。これに対して木村は得意の一手損角換わりにするかと思いきや純正の角換わりとなり実戦例の多い同型模様に進んでいく。手を変えたのは深浦で39手目▲8八玉が用意の一手。ここで▲2五歩と突けば同型からの先手の仕掛けになる。深浦はこの手を王将戦二次予選決勝で渡辺竜王に指している。渡辺は定跡形の△4三銀上を知らずに敗れたが、△4三銀上は1991年9月に米長が指した新手で決定版といわれていた。島の名著『新版角換わり腰掛け銀研究』320頁以下。

敢えてこの形を選んだのは深浦に研究手順があるのだろう。木村も当然深浦の狙いを察知しているはずだが、2日制の持ち時間の長い将棋ということもあり、相手の懐に飛び込み△4三銀上と指す。正直この変化はよく知らないし、プロの実戦例もそれほど多くないと思われる。森内-米長戦では▲4八飛と指して先手の逆転勝ち。本譜はどこまで前例があるのだろうか。ただ51手目▲2三歩が深浦の主眼とする一手であるのは間違いなかろう。これに対して後手は8筋を突き捨てて△3六歩と桂頭を狙う。なにも代償なしに桂損しては先手が不利になるので封じ手の局面で先手は動く必要がある。そこで封じ手は▲2四飛しか考えつかない。以下△3七歩成▲2二角△4二玉▲1一角成△7六歩▲6六銀△6六桂がひとつの想定される変化。

先手は2筋を突破できるように見えてそう簡単ではない。明日は攻め合い必至でもしかするとあっという間に形勢に差がついて終局も早いかもしれない。深浦がどこまで研究してきた手順なのか、木村がそれを打ち破る受けの強手を発揮するのか、興味はつきない。