予言集版本間のセザールへの序文のテクスト比較2007/09/22 01:43

http://cura.free.fr/dico2pro/709Dcn71.html
パトリス・ギナールのコーパス・ノストラダムス71番目の記事で、ノストラダムス予言集の17の版本(1555-1610)におけるセザールへの序文のテクストを詳細分析した研究が発表されている。こういうすばらしい熱意には頭が下がる。こうした試みの先駆けはダニエル・リュゾの『ノストラダムスの遺言書』(仏版287-288頁)と思われる。このときは単純に1555年ボノム版(リヨン)と1588年プチ・ヴァル版(アヴィニョン)においてセザールの序文とアンリ二世への書簡のテクストの異文を列記したものだ。その後これを利用してノストラダムス研究室では「Bonhomme 版の諸状況」の論考のなかで早期の版本間のテクスト比較を発表した。

ギナールの研究はセザールの序文に特化して実に細かくテクストの差異を分析して各版本の特長をうまく表にまとめている。これを見ると、独立した目印、問題のある言葉、1555年との類似箇所の数が丹念に数えられており、これだけでも版本の系譜が見えてくる。時代が近代に近づくにつれて正字法が整ってきた証左ともいえる。極めつけがカラーでマークの入った版本の関連付けした樹形図である。これを見ると、より予言集のオリジナルに近いラインは1555年ウィーン標本~1557年ユトレヒト標本~1568年X版~1590年カオール版となる。予想していた通り、1557年海賊版は後にパリで刊行された雑多な版本の祖型となっている。

面白いことに1568年C版が1598年リゴーの後継者版に引き継がれ17世紀のピエール・リゴー版へと進んでいる。このあたりの順番はきちんと整合が取れているようだ。リュゾ・コレクションに保管されていたアヴィニョン版のコピーというプチ・ヴァル版はリゴー系列の影響を受けずに直接1557年ユトレヒト標本につながっている。もっとも仮定的な1559年版を経由しているらしいが。こうして俯瞰すると予言集版本の系統がよく理解できる。