本の未来はどうなるか2009/09/20 23:58

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4121015622.html
歌田明弘 本の未来はどうなるか―新しい記憶技術の時代へ 中公新書 2000年11月 を読んだ。本の歴史については関心のある分野なのでこれまでも様々な本を読んできた。本書は本の未来を論じているが9年前に書かれたこともあり、情報としては少々古くなってしまった。が、今日を先取りした先見性も見られる。現代における本の役割とは何なのであろうか。書店を覘いてみると、ありとあらゆる分野で一般書、新書、文庫、雑誌等が次から次と並べられては消えていく。たぶん需要と供給のバランスが崩れているのはないか。売れない本はすぐに絶版となってしまう。書店の棚に置いていない本も沢山あるので、インターネットで検索すると、お目当ての本をあっという間に見つけて注文することができる。今や本は紙という媒体を通さずに携帯やパソコンで読むケースも増えており、明らかに新時代が訪れている。

自分がよく購入している人文書にしても、発行部数が2000部から3000部程度で増刷がなければあっという間に絶版となり、入手が困難となる。グーテンベルク以降の印刷の発行部数とさして違いがないというのも驚きである。そのなかで人気のある本だけが何度も版を重ねていくことになる。その昔、本は個人の蒐集の対象で財産でもあったことから文献書誌学が発展してきた。こうして過去には大量の本が存在するのだが、本を読むという行為は1頁目からめくって最後まで読み終えるなんてことをしていると重要でない情報に時間を取られることになる。そこで本書ではコンピュータを通じ、テーマごとにリンクに従ってテキストを読んでいくという、ハイパーテキスト的な世界への移行を重要視する。本というまとまったテキストから断片的な情報の組み合わせによる臨機応変な読み方。本の未来を捉えた方向性は今日のグーグルなどを参照すると完全に凌駕している感が強い。

今日グーグルをはじめ多くの図書館でグローバルな電子書籍化が進んでいる。しかもそのテキストがハイパーリンクで検索が可能となっている。これまで読むことが困難だった資料がいとも簡単に入手できる時代になった。膨大な情報を自由に検索し、ダウンロードしてパソコンに取り込めるのは本当に便利である。しかし100年以上前に出版された本を手に取るとテキストだけではない味わいのようなものが感じられる。そもそもマシンに電源を入れないと読めない情報というのもなにやら危うさを感じる。本の未来は、紙と電子データを上手に使い分けをすることがいっそう求められることになろう。