第50期王位戦最終局は横歩取り△8五飛に2009/09/29 22:22

http://www5.hokkaido-np.co.jp/50oui-7/
木村が3連勝した時点では、まさか第七局までもつれるとは思えなかった。深浦も出だしはなかなか結果が出なかったが、第四局以降は過去2年の激闘を彷彿させる粘り強い指し口が戻っている。第七局は改めて振り駒で深浦が先手、ここまでの流れを見るとタイトルホルダーに分がありそうに映る。木村は初タイトルの夢が後一歩のところで阻まれており、最終局は並々ならぬ覚悟でのぞんでいることだろう。戦型が注目されたが、木村が後手番で横歩取り△8五飛戦法を選択、深浦は経験豊富な▲5八玉形で迎え撃つ。木村は一時期△8五飛戦法のスペシャリストであったが、しばらく封印していた印象がある。この大一番に持ってきたからには相当な研究の裏付けがあるはずだ。

東大将棋7で棋譜を並べてみると、38手目△7三桂まで定跡とある。その後は双方歩越し飛車のまま中住まいの陣形を整える。局面が動いたのは木村の40手目△5五角。この手は本譜にあるように角を切って銀を手にし、飛車を手にすることにある。単純すぎるのでまさか先手もうっかりしたわけではないだろうが、先手陣へ飛車の打ち込みが厳しそう。封じ手の局面は▲4六角と打って次に▲7三銀成を見せたところ。受けるのなら△7二銀だが、▲7三銀成△同銀▲2四桂には△2三金と上がる手がありすんなり飛車は取り切れない。よって△7二銀には一旦▲7九金と飛車打ちを消しておくか。あるいは飛車の横利きを生かして、ふんわりと△6四歩と突く手も考えられる。

同じように▲7三銀成△同金▲2四桂△2三金は▲3二桂成でどうだろうか。先手も▲8五桂と跳ねる手、▲4一角と王手する手があり、△8九飛とおろされて、どちらが攻め合い勝ちかすぐには読み切れない。木村の棋風を考えると、金銀がバラバラになりながら粘る△6四歩のような気がしてきた。明日の大勝負を制するのは、深浦か、木村か、いよいよ最終決着がつく。