フォンブリュヌの新刊書が届いた2009/09/28 23:50

もう出ることのないと思われた、フランスのノストラダムス研究家フォンブリュヌの新刊書が今年の2月に出版されている。1980年に『予言者、歴史家ノストラダムス』で一躍ベストセラー作家に躍り出たフォンブリュヌもすでに74歳(本書の付録には何故か御本人のホロスコープが載っている)。前回の本が2006年だったから3年ぶりの新作となる。出版社は同じロシェで巻頭の著作リストを見ると、同じようなノストラダムス本を8冊も刊行している。出版社側もよく飽きないものだと感心してしまうが、その背景には、ノストラダムスの予言から近未来を垣間見たいという読者のニーズが絶えなかったことも見逃せない。円高で洋書を購入しやすくなっているのでネットで注文したところ本日届いた。タイトルは"Nostradamus l'avait predit : Crise financiere, Tibet, Chine, Caucase, Iran, Afghanistan... "(ノストラダムスは予言していた―財政危機、チベット、中国、コーカサス、イラン、アフガニスタン等)である。

タイトルを見ても、昨今のニュースに登場する国際情勢のキーワードがずらりと並んでいる。フォンブリュヌは今回どう解読したのだろう。裏表紙を拾い読みすると「本書では2008年から2025年までのノストラダムスの予言を解読し、以下の事件を見出した。グルジアの戦争、資本主義の終焉、2017年のイスラム主義の終焉、西欧と中国の戦争あるいはロシアとイスラム諸国の戦争等々。しかしながら混沌とした未来は2026年の世界的平和と黄金時代の到来に向けた準備なのである」これまでの戦争シナリオを近未来に先送りしただけである。もちろん最後はめでたく西欧の勝利で終わる。日本に関する予言は、2-91と2-6で原爆投下と解釈しているが新味に乏しい。本書は結構フリーなスタンスで直感でどんどん書いていった感じがある。参考文献は自分の著作のみ、「ジャン・シャルル・ド・フォンブリュヌとメディア」の項では、過去にテレビやラジオに出演した集大成を細かく載せている。

フォンブリュヌ本人は、現代の実証的なノストラダムス研究もどこ吹く風で最後までビリーバーとしての信念を貫いている。それはそれで立派だとは思うのだが・・・今回のシナリオが外れたらまた新しい本を執筆するのだろうか。