第22期竜王戦の挑戦は森内に決まった2009/09/11 23:57

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1週間という少し長めの出張からようやく帰宅した。結局6時間ほど移動に費やしたことになる。その間も竜王戦の挑戦者決定戦の様子は携帯から中継ブログで断続的にチェックしていた。1組優勝者が挑戦者になれないという竜王戦決勝トーナメントの奇妙なジンクスは今年も生きていた。深浦は王位戦で三連敗と一時期調子を落としていたがここにきて三連勝と勢いに乗ってきたのでひょっとしたらと思ったが壁は厚かった。森内は久しぶりのタイトル戦登場となる。そもそも渡辺が五連覇の快進撃を果たす前の竜王は森内だった。ようやく渡辺に借りを返すべくリターンマッチにこぎつけた。渡辺との対戦成績はまったくの五分なだけに目を離せない展開になりそうだ。

ネット中継に接続したところ、すでに終盤戦で森内勝勢の局面(89手目)でそこからいくばくもなく深浦投了となった。本局は森内先手で角換わり腰掛け銀の同型という定跡形からの仕掛けとなった。それにしても深浦の序盤の指し手が早かったようで織り込み済みの戦型だったに違いない。深浦の独自の研究の一手が48手目△6三金(上図)。△4四銀と上がれば通常の定跡形に合流する。この手はどういう狙いがあるのだろうか。本譜のように手順に▲3四歩と取り込まれると△同銀とは取りづらいので△4四銀とかわすのだが先手は▲7四歩と金を上面せておいて単純に▲4五銀とぶつけていく。後手も8筋の突き捨てから58手目△8八歩と反撃に出るが森内の▲8八同銀がしっかり読みの入った手。以降は先手がペースを掴んだふうに見える。

本局を振り返ると、深浦が序盤を研究手順とばかりに飛ばして指したのが、勝負どころをさらっと通り過ぎてしまった感じがする。新手の△6三金だって、盤の前に座ったらもう一度読み直してみる位の心の余裕があっても良かったのではないか。中盤の森内の▲7一角からじっと▲6二角成と成った一見緩そうな指し方が印象に残る。読みの入った柔らかい一手が勝因といっていいだろう。