第57期王座戦第一局は羽生が連覇に向けて1勝目2009/09/05 10:04

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羽生の王座戦17連覇という成績はまさに空前絶後、神懸っているとしか言いようのないとてつもない記録である。羽生本人にしてみれば1期1期積み上げた結果として、気づいたらここまで来たかという感覚だろう。記録というものはいつかは潰えてしまうのはやむを得ないが、最近のタイトル戦でギリギリの防衛が続いている羽生が今期も連覇記録を伸ばすことができるだろうか。挑戦者として20代の山崎七段が名乗りを挙げた。将棋世界10月号の巻頭インタビューを読むと、先輩棋士と後輩棋士との間で様々な心の葛藤が生じてきたことがわかる。本当は自分が一番でありたいという自信が崩れ、それでも自分には将棋しかない、というジレンマが自虐的なインタビューに投影されているように思われる。関西は現在、久保の初タイトルや豊島、稲葉らの若手の活躍で活気づいている。今回のタイトル初挑戦は山崎もその潮流になんとか乗れたとみていいだろう。

振り駒の結果、山崎の先手で得意の相掛りに進んだが、羽生の22手目△8五飛が名人戦でも現れた最近流行の作戦。ネットの解説では過去12局で先手8勝とあるのでまだまだ後手に工夫の余地がありそうだ。羽生の狙いは、いきなり24手目△9五歩と端攻めに現れた。先手は9筋の歩のたらしを結局取り切れなかった。28手目△9五飛と歩損を解消したところでは後手の主張が通った。その後は先手も9筋の位を避けて左に玉を囲い、ヒネリ飛車のような展開に。先手の玉形は堅くなったが角が使えないのと後手からの1筋の端攻めがわかりやすく少し辛い感じだ。それでも63手目▲4八玉と上がったところでは後手からの継続手も難しい。そこで羽生らしいスピードコントロール、端攻めから一転△6二金から右辺の金銀を繰り替える柔らかい指し回しが流石の構想。76手目△5五香と飛車を捕獲したところで後手の優勢がはっきりした。山崎も終盤執念の粘りを見せるが羽生の指し手は正確無比、なんなく手堅く寄せ切った。

山崎にとって5番勝負の初戦を先手番で落としたのは痛い。インタビュー記事にもあるように、2局目までに1つ勝つ目標を達成するには次はどうしても落とせない。1局目を終えてタイトル戦の雰囲気にのまれることもないはずだ。奪取に向けてまずは待望の1勝を挙げたい。そうすればうまく好調の波に乗れる可能性もある。メンタル面をさらに充実させて羽生の連覇ストップという大きな仕事を成し遂げてほしいものだ。

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